初等部編15
感想を頂いて、テンションとモチベーションが上がったのでもう一話分書きました。
ジンスと話をした翌日からレオを避けるのを止めた。とは言っても挨拶をして軽い会話を少しする程度なので以前とほとんど変わってはいないのだが。それでもそんな私の様子を見てカトリーナは「何か吹っ切れたみたいね」と安心したように言った。
気付かない間に心配をかけていたようで申し訳なく思いながらも、少し嬉しくなる。
ジンスの言った通りだ。私の周りにはこんなに優しい人達がいる。例えゲームのようになったとしても、私は自殺をしようとはきっと思わないだろう。そんな確信を胸にカトリーナと笑い合う。
あぁ、幸せだ。
「ねぇ、アリア。入学式の日に後で聞いてもらいたいことがあるって言ったの覚えてる?エラ・ヴィダーさんとのことなんだけれど……」
「もちろん、覚えているわ」
こっちからその話に触れてもいいのか迷っていたのだ。迷っている間に3ヶ月も立ってしまったので、今さら聞けなくなっていたのだが……。
「今度のお休みって空いているかしら?相談にのって欲しくて……」
もちろんOKした。
ジンスからお米と釜を買うのは今週末だけど
日曜の午後からだから土曜日は特に予定はないはず。まぁ、他の予定があったとしても、カトリーナを最優先させるのだけど。だって彼女の顔は強ばっていたから。
話を聞くだけしかできないかもしれない。だけど、力になりたい。カトリーナは私の大切な友達だもの。
昼休み、週末の予定を食堂で食べながら調整をする。イザベラの前で週末の話をしてもいいのかな?と思ったが、どうやら聞かれても問題はないらしく、羨ましそうにしていたイザベラをカトリーナは誘っていた。
その時「私の婚約者候補の話をしたいのですけれど、イザベラ様は大丈夫かしら?」と確認をしていたので不思議に思っていたら、イザベラも合点がいったようで神妙な顔で頷いた。
ますます意味が分からないので教えてもらおうと思ったら、週末に説明をするから……と言われてしまった。
何だか仲間外れみたいで少し寂しい……。でも、教えてくれるって言ってたし我慢だ!と思っていたらカトリーナに頭を撫でられた。それを見たイザベラも私の頭を撫でたそうにこちらを見ていたのには、何だか納得がいかない。
どうも最近、子供扱いをされている気がする。ジンスは前世では年上だったから仕方ないにしても、カトリーナとイザベラに関しては前世を合わせれば私より年下だ。
私の方がお姉さんなんだからね!と心の中で反論しておいた。うん、ちょっとスッキリ。
気を取り直して美味しく食事をしているとジンスが通りかかり、席が空いてるなら一緒に食べても良いかと聞かれて頷いた。その後に誰かを探していたようなので、先に席を取りに来たらしい。
「おーい、王子!ここ良いって!良かったなー」
相手はよりにもよってレオだったことに驚いていれば、にんまりと笑われる。人の悪い笑みだ。「もう避けないんだからいいだろ?」という声が聞こえた気がした。
「まだ心の準備ができてないのに!」と睨めば、ものすごく楽しそうな顔をされた。あれは私の反応を見て遊んでるやつだ。中身は年上なのに子どもみたいなことして!!腹立つー!
向かい側に座ったジンスの足を蹴れば、痛みで悶えていた。ちょうど弁慶の泣き所に当たってしまったらしい。ごめん。
ジンスの隣に座っているイザベラは不思議そうにしていたが、カトリーナには私のしたことがバレたらしい。あとで、怒られることを覚悟して、静かに食事を再開する。
どうかカトリーナがこのことを忘れますように……。
次回はわちゃわちゃした感じを書きたいです