幼少期3
ほしきみ☆は前世でヒットした乙女ゲームだった。
普段は乙女ゲームをしない私だが、内容の面白さにゲームをしている友人の家に暇さえあれば入り浸り、隣で見ていたのだ。
何故ゲームを見ていただけかというと、ストーリーは好きだったが、攻略キャラ達が言う甘ったるいセリフを聞くのが苦手だったのだ。甘いセリフを聞くたびに鳥肌が止まらなかったのだが、もともとラノベが好きだった(甘いセリフも何故か文字なら大丈夫な)私にとってはそれを我慢してでも見たいと思えるほど好みの内容だったのだ。
だから、内容をある程度は覚えていた。
ほしきみ☆は子爵家のヒロインが王太子やイケメンの貴族達と学園生活を通して交流するなかで互いに引かれ合い、身分差やライバル令嬢に負けずに愛を深めた末に結ばれるというシンデレラストーリーの王道物である。
何故シンデレラストーリーかというと、この世界には貴族の階級があり、偉い人順で並べると王族、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵となるのだ。
例外で魔術師は平民だろうと王族の次に偉くなるのだが、ヒロインはこれには当てはまらない。
攻略キャラは全員が星座の家名を持つ侯爵以上で、現実では子爵家の令嬢がどんなに思いを寄せようと結ばれるのが非常に難しい、ほぼ無理と言える相手が多いのだ。しかし、そこはゲーム、数々の試練を乗り越えて結ばれるのである。
ここまでは、よくある乙女ゲームと一緒だ。
ほしきみ☆の何が良かったのかと言うと、攻略対象ごとにライバルとなる令嬢が変わることだ。それにより、ストーリーもバリエーション豊かだった。
攻略対象は8人で、ライバル令嬢が6人出てくるのだが、こんなにライバルに力を入れているのは珍しかった。
王道の意地悪な悪役令嬢や、対象キャラの気を引くのが上手いぶりっ子令嬢、フェロモンがすごいセクシーなお色気令嬢、清楚で一途なために対象キャラを奪うことを躊躇わせる小動物系令嬢、裏表が激しく取り扱い注意な猫かぶり令嬢、年下のかわいい妹系令嬢が出てくる。
攻略対象者によっては、ライバルが出てこなかったり、ライバルの一人と仲良くならないとハッピーエンドを向かえられないものもあった。
後味が悪いことが少ないのもこのゲームの特徴で、ルートによってエンドも変わるのだが、ライバル令嬢が国外追放や修道院に送られることはあるものの死んでしまうことはほぼなく、中にはいつの間にかライバル令嬢と友情が芽生えることもある。
きっと、婚約者候補ではあるものの婚約者ではなかったため、友情が芽生えたりすることも可能だったのだろう。
実際、婚約者候補以外と婚約することもこの世界ではよく聞く話だ。
後味が悪いものは少ないが当然後味が悪いものもあり、それは教師である侯爵と、レオナルド・シュテルンビルト王子を攻略する場合だ。
そして、レオナルド・シュテルンビルト王子ルートで婚約者候補の私アリア・スコルピウスが出て来てヒロインに数々の嫌がらせを行うのである。