幼少期:リカルドside1
加筆修正しました<(_ _*)>
アリア・スコルピウスと出会った日から俺の日常は変わった。
「私に、スコルピウス公爵家にお任せください。2~3か月かかりますが、父が最良の結果をもたらすでしょう」と言われた時、2~3か月で何もできるはずがないとは思いつつ、俺のことを助けてくれるんじゃないかって心のどこかで少し期待していた。まさか、たった一月でこんなにも変わるなんて思いもしなかったんだ。
アリアと出会った数日後、俺付きの従者が二人増えた。
「本日よりリカルド様付きの騎士となります、ガーディンと申します。こっちはメイドとして仕えさせて頂くキャルロットです。よろしくお願い致します」
人好きする笑顔で挨拶をされ、優しい目でこちらを見ている二人にある人物が重なった。
「……お前ら、スコルピウス家の者か?」
俺の言葉に少し驚いた表情をみせたが、より一層笑みを深めた二人に何ともいえない気持ちになる。
「リカルド様、私達はシャンパス家より参りました。アリアは私達のいとこです」
そう言ってガーディンは俺の頭を撫でた。その様子を見てキャルロットは慌てているが、ガーディンは全く気にした様子はなく、楽しそうにしている。
「リカルド様はこんなことじゃ怒らないから大丈夫だ。見ろよ、こんなにきれいな目をしてるんだぞ。それに、こんなにも愛らしいのだから、可愛がるなっていう方が無理な話だ!!」
先程までとは違い、まるで昔からの知り合いのような態度と俺のこの赤い目をきれいだと言っていることに戸惑ってしまう。何も反応ができていないうちに、急にキャルロットに抱きつかれた。
「私だって我慢してたのに、お兄ちゃんばっかりずるい!!」
さっき出会ったばかりの新しい従者に撫でられ、抱き締められて、初めての状況に頭がグルグルする。何が何だか分からないまま猫っ可愛がりされ、いつの間にか二人に揉みくちゃにされていた。
嬉しいような恥ずかしいような感情と共に、父上と母上にもこうして欲しいという渇望と諦め……様々な感情に揺さぶられ、俺の中の魔力が波打ったのを感じた。
マズイ!!そう思った時にはすでにコントロールが効かない状況でーーー
ガタガタガタガタガタガタ……
机や椅子、様々な家具が大きく揺れ始めた。
嫌われてしまう……。嫌われたくない!!その一心で懸命に魔力を押さえ込もうとするが、焦れば焦るほど家具の揺れは大きくなり、今にも飛び交ってしまいそうだ。
もう駄目だ……。諦めにも似た絶望に襲われたその時ーーー
ガタガタ……ガタ……ガタ………………
………………。
「止まった?」
俺の中で溢れた魔力は気がついたらなくなっていた。
「驚かせてしまい、申し訳ありません」
キャルロットがしょんぼりしながら頭を下げており、ガーディンの頭も無理矢理押さえつけて下げさせている。
俺がそれに答えるよりも早くガーディンはキャルロットの手から抜け出し、
「魔力の制御の練習が必要だな!!」
と俺の頭をまたもや撫でながら、楽しそうに言った。