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幼少期26


 お父様とお母様はパーティーに出席のため、今日はノアと二人での夕食だ。

 ナイフとフォークを使うのがまだ苦手なノアは食事中ほとんど話さず黙々と手を動かしている。


 魔術師の件を考えようとも思ったが、ゆっくり一人になった時に考えることにした。お父様に聞きたいこともきちんとまとめておきたいし……。決して、食欲に負けた訳ではないんだから!!と心の中で言い訳をする。



 今日のメニューはパンとスープ、サラダ、メインは白身魚のトマトソースがけである。デザートにはメロンのような果物が並んでいる。


 この世界の食事はとても美味しい。ただし、洋食しかない。スイーツは味のバリエーションは多いが、大きく分けてケーキ、クッキー、パイの3種類のみ。


 前世の記憶を思い出してからは、白米に味噌汁、お漬け物が食べたいと切に願い、調べてはいるもののなかなかお目当ての品は見つからない。

 お米らしき物はあった。しかし、食べようと思って料理長にお願いしたら「無理です。勘弁してください‼子どももまだ小さいんです」と頭を何度も下げられてしまい、申し訳ないことをしてしまった。

 お米っぽいものは家畜の餌さとして使用されており、人が食べるものではないそうだ。


 その時はお米を諦め、変わりにポテトチップスを頼んでみた。作り方を聞いた料理長には変な顔をされたが、家畜の餌を食べたいと言われるよりはマジだと思ったようで渋々作ってくれた。

 芋を薄く切って水気を拭き取り、油でじっくり揚げてもらい、塩を振って食べた。記憶のものより素朴な味だが前世の頃の味に触れて泣きそうになる。

 しかし、隣で味見をした料理長が「革命だーー!!!!」と叫んだことで感傷的な気分は一瞬にして吹き飛んだ。


 素揚げがこの世界にはないそうで、野菜がパリパリになることに驚き、いかに感銘を受けたのか力説されたのは、記憶に新しい。


 どこで知ったのか聞かれ「夢で見た」と苦し紛れに答えれば、彼は目を見開き小さな声で何かを呟いた。

 聞き返そうとしたが、他に何か料理について知っていることはないかと散々聞かれ、結局何を呟いたのか分からなかった。


 その後はポテトチップスを食事に出そうとする料理長をおやつに食べるものだと説得した。塩の他にもコンソメやチーズ、色々な味の可能性があると伝えると、料理魂に火がついたようで日々研究を重ねている。


 「夢で見た」と言ってしまったので、頻度は月に1回程にして前世の料理でこちらでも作れそうなものをリクエストしに行っているが、未だにお米は使ってもらえず……。

 

 ノアの件をお父様に聞けたら、今度こそお米を使った料理をしてもらおうと心に誓い、ナイフとフォークに苦戦しているノアを微笑ましい気持ちで眺めながらのんびりと食事を堪能した。




 

 

後々のために、食事について書きました。

次回はお父様に会いに行きます‼

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