幼少期23
区切れたので短いですが投稿します。
お茶会から一週間程経った。
部屋でのんびりとお茶を飲みながら、この部屋の家具をどのように模様替えをしようかと考える。
記憶が戻る前の私がピンクにこだわり過ぎたせいか、壁紙は白地だが、カーテンも絨毯もベッドもソファもテーブルもみんな薄ピンク。
一つ一つはもちろん高級だし、デザインも凝っていて彫刻がとてもお洒落だ。
しかし、全部薄ピンクなせいか絶妙にダサい。素敵な家具達が台無しである。
買い直すのはお金が掛かりすぎるので、せめてカーテンと絨毯の色を変えてはどうだろうか。それとも、家具の色を塗り直してもらう?
いやいや、塗り直しなんて口にしたら家具をすべて買い替えるとかなりそう……
どうすれば、一番安く理想の部屋に近づけるか頭を悩ませていると扉を叩く音がした。
「アリア様、ノア様がいらっしゃいましたよ」
ミモルから声をかけられたと同時にノアがドアの隙間から入り、こちらに向かって走ってくる。
その勢いのまま私の座っているソファーの上へと飛び乗った。柔らかい座面が少し沈む。そして、ソファーの上に立ったノアにギュッと抱き締められた。
「ノア様‼‼‼」
ノア付きのメイドのメモルが目をつり上げて怒っている。メモルはミモルの双子の姉であり、元々はお父様のメイドをしていた若くて優秀な女性だ。
メモルにノアが怒られているのは最近ではすっかりお馴染みの光景で、ノアは面白がって更にヤンチャに遊ぶようになった。
ヤンチャと言っても木登りやベッドの上で飛び跳ねるといった子供らしい行動なのだが、やはり貴族としては良しとされない。
貴族の子供は恵まれてもいるけれど、制約も多い。
たくさんのことを我慢しながら大人にならなければいけないノアを思い、少し胸が苦しく感じた。