幼少期21
レオナルドに連れられて来られたのは、丁度お茶会の真ん中辺りにある席だった。私達が座ると王妃様が他の方々も座るよう促す。
「レオナルド、私達もこちらの席にお邪魔してもかまわないかな?」
そこには黒髪を後ろに縛り灰色の瞳を持つどこか冷たい印象を与える美少年と、ふわふわとした栗色の髪とアーモンド型のぱっちりとした目が可愛らしい女の子のような少年が立っていた。
二人を見て一瞬大きく目を見開きカトリーナは小さな声で何かを呟いた。
横目でカトリーナを見ると何だか頬が少し色付いているような……。
可愛い系男子の方が私とカトリーナの間に立ち小声で話しかけてくる。
「あのね、他の女の子達がギラギラしてて怖くてさー。だから、僕たちをここに避難させて欲しいんだ。お願い‼」
然り気無く周囲を見ると先程よりも令嬢達の殺気が増している気がする。一部この様子を面白そうにみている子もいるけれど、確かにこれは怖い。
「私は構いませんが……」
カトリーナは隣で小さく何度も頷いている。
「やったー。ありがとー。じゃぁ、僕はカトリーナの隣に座るね‼」
ガタガタと椅子を引いて座る。その横でカトリーナの顔はみるみる赤く染まっていく。その様子を嬉しそうに見る可愛い系男子。
これって、もしかしなくてもそう言うことだよね。友人の微笑ましい姿に私の口は思わずニマニマしてしまう。
「和んでるとこ悪いんだけど、二人とも自己紹介くらいしたら?」
レオナルドの声で私は慌てて二人の方を向き挨拶のために立ち上がろうとしたのを制される。
「勘違いさせてごめんね。アリア達に言ったわけじゃないんだ。フランとレーンがなかなか挨拶しないから…」
少しだけ拗ねた様子のレオナルドに二人は笑いながら謝った。
「挨拶が遅れて申し訳ない。私はフランチェスコ・リーブラだ。4月からは同級生となる。仲良くしてもらえると嬉しい」
「僕はねー、レーン・リェーフ。1年先輩だよ‼よろしくー。」
やっぱり。二人ともほしきみ☆の攻略キャラだったかー。そうだよね、これだけ将来イケメン要素満載だもんね。
……あれ?カトリーナの相手キャラって教師じゃなかったっけ?
でも、カトリーナの好きなのはレーンだよね。
舞台は高等部だからこれから心変わりするとか?それとも、ゲームとこの世界は関係ないと思ってもいいの?
ゲーム補正が入るとかは考えたくもないなぁ。そうなると、手の打ちようが無くなってくるし………。
「アリア?」
レオナルドが心配そうに声をかけてくる。
しまった‼考え事してて、私自己紹介してない。
「すみません、少し驚いてしまって……。
私はアリア・スコルピウスと申します。是非、仲良くしてくださいませ」
嘘は言っていない。レーンが年上でフランチェスコが同学年なのに驚いたのも事実だ。ゲームを知ってるとはいえ、やっぱり覚えてないことも多い。
「やっぱりフランが老けてるからびっくりしたんじゃん」
「いや、私にはレーンの幼さに驚いたようにみえた」
二人が言い合いを始めてしまい慌てたがレオナルドはいつものことなのか全く気にせず、話しかけてくる。
とりあえずどうしたらいいのか分からなかったのでレオナルドとカトリーナと談笑していると、いつの間にか周りも席についており、ついにレオナルドの言った素敵なことが起こるようだ。