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幼少期19

久々の投稿です。職場に先月より復帰したため、なかなか時間がとれなくなってしまいました。


「アリア様はレオナルド王太子様が他のご令嬢とお話ししていて嫌ではないのですか?」


 純粋な疑問の目だ。特にこちらを探ろうとしている節はない。しかし、この解答を誤れば一気に悪役まっしぐらかもしれない。

 慎重に答えなければ…。


「そうですね。特に嫌だという感情はございません」


 私の答えに目が大きく見開かれる。


「私は婚約者第一候補とはいえ、レオナルド様とお会いしたのは今日が初めてです。

 少しお話をさせて頂きましたが、特に恋愛感情は抱きませんでした。とても聡明でお優しい方であるというのはお噂通りでしたけれど……」


「聡明でお優しいのであれば、充分だと思うのですが……」


「そうですね。ですが、私は王妃様になりたいわけではないのです。

 確かに、以前は王妃様に憧れて目指しておりました。今でもレオナルド様のお母様である王妃様はとても素敵で憧れています。

 ただ、それは王妃様という立場への憧れではなく、レオナルド様のお母様のお噂を聞いての憧れだと気が付いたのです。

 王妃様になるための教育はたくさん受けましたし、今でも受けております。しかし、それは今後の私の可能性を広げるために受けている教育でしかないのです。


 最近は隣国のブロッサム王国に嫁いでみたいと思うこともあるのです。花の祝福を受けた隣国では妖精がいるそうではないですか。妖精に囲まれた生活はとても素敵でしょうね。

 王妃様になることも隣国に嫁ぐことも、どちらも並大抵の努力では手に入らない、夢のようなお話ですけれどね」


「本当に夢のようですわ。そのように考えられるアリア様が少し羨ましいです」


 眉を下げ、何かを諦めたかのようにカトリーナは笑う。


「私には姉が3人いるのですが、お姉様たちは少しでも待遇の良い家に嫁ぐために日々己を磨いています。

 学園を卒業するまでにお父様が認めてくださる相手を射止めることができなければ、お父様の言うことを聞く約束ですの。

 一番上のお姉様が来年に高等部を卒業するのですが、その時に婚約者を見つけられなければ、オノノフス伯爵家に嫁ぐことになる予定です…」


「オノノフス伯爵家って…」

 確か、先妻が昨年亡くなられて、当主様が50代の……


「はい……。ガマガエルの異名を持つ御当主様がいます」


 やっぱり!!いくら政略結婚とはいえ、あんまりだ。10代の娘をそんなところに嫁がせるなんて!!


「オノノフス家は伯爵のため爵位はシュタインボックス家よりも低いのですが、豊かな自然を生かした産業と近頃は貿易にも力を入れ始め、国内で1、2を争う勢いで頭角を表しているのだそうです。

 だから、お父様も繋がりを作りたいのだろうと、お姉様が言っていました。

 私たちはお父様の道具でしかないのだと……」


 なんて声をかければ良いのだろう。貴族というものは少なからず、家の都合での結婚をするものだと分かってはいた。

 けれど、こんなに過酷なものだなんて思いもよらなかったのだ。


「けれど、お母様はそうではないと言いました。お父様はお姉様に少し灸を据えるためにしたことだと。決して、不幸になるような結婚はさせないと。

 それを聞いて私は分からなくなりました。

 お姉様の話を聞けば、不幸そのもの。お母様の話を聞けば、幸せになれる。ただ、私が望む相手と結婚ができるのはとても難しいことだというのは分かりました。

 どの家でも貴族であれば政略結婚は当たり前ですのに、そのような中ででも夢のような素敵なお話ができること、希望を捨てないアリア様のように私もなりたいです」


 とても6歳児とは思えない会話にひきつりそうな顔をどうにか平静に保つ。


 カトリーナはセクシーだけではなく、IQ200の天才美少女設定だったっけ?セクシーな印象の方が強かったけど、6歳でこの会話……、敵にまわったらと思うとゾッとするわ。


「そしたら一緒にブロッサム王国に行くのを目標に頑張りましょうよ。一人では無理でも二人なら嫁がなくても隣国へ行ける良い方法が見つかるかもしれないわ」


 思い付きで隣国へ嫁ぐという話もしたが、かわいいノアと離れたくないのでできることなら、隣国とを行き来できるようになりたいものだ。

 二人で隣国について語り合い、取り巻きの一人だということを忘れて、すっかり仲良くなってしまったのだった。





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