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幼少期17


 秋の庭園に戻ると、たくさんの子供に囲まれた。私ではなく、レオナルドが。


 レオナルドの手を離し、そっとその場を離れると突き刺さるような多くの視線を感じた。女の子からは、嫉妬や妬みのようなものも多いが、なかには憧れの目で見てくる子までいる。


 そんな中、一際睨み付けてきた女の子に声をかけられる。

「ちょっと、そこのあなた。

 レオナルド様に声を掛けて頂いたからって勘違いなさらないことね。レオナルド様に相応しいのはわたくしなのよ!!」


 おぉ!!悪役っぽい。

 取り巻きを二人引く連れており、頭には見事な縦ロール。私の方が悪役面だけど、このお嬢さんの方が悪役感が出てるわ。

 取り巻きも悪役感が出てるし……って私の取り巻きをやる予定の子達じゃないの!!


「それにしても、その瞳。不気味だわ。

 あなたのご両親とも瞳の色が違うわよね。スコルピウス婦人の不貞の子なのではないかしら。

 あぁ、穢らわしい」


 私が何も言わないでいると、更に言葉を重ねていく。


「さすがは不幸を呼ぶと言われる赤い瞳の持ち主ね。私の話に顔色一つ変えないのだもの。気持ちが悪いわ」


「ごめんなさい。……どなたでしたっけ?」


 センターの悪役だけ、名前がわからない。

 何かぐちゃぐちゃと文句を言われているが、根も葉もないことを言われているのでどうでもいい。きっと、この子の親や周りの大人が私のことを言っていたのを真似しただけだろう。

 母の名誉のために不貞のことだけは否定する予定だが、その前に名前がわからない。分からないと不便だ。


「なっ…」

 顔を怒りで真っ赤に染める悪役リーダー。嫌がらせされたのだから、少しくらいやり返してもいいよね?


「ヴィオラ・アクアリウス様とエラ・ヴィダー様は存じているのですが……申し訳ありませんが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」

 この世界では初対面だが、取り巻き1、2はゲームで知っている。悪役リーダーはゲームに出てこなかったから、知らない。

 少々嫌みを込めて、眼中にないから知りませんでしたと言うように話しかける。


 それにいち早く反応したのが取り巻き1のヴィオラ・アクアリウスだ。

「イザベラ様を知らないなんて、信じられませんわー」

 それを聞いた取り巻き2(エラ・ヴィダー)も慌てて追従する。

「あなた、ピスケス公爵家を知らないとは言わせませんわよー」


 あぁ……婚約者候補第2位か。

 確か、この子の双子の兄もまた攻略対象者だったな。そういえば、双子の妹がいるって設定だったかもしれない。

 しかし、イザベラって…。アリアより悪役っぽい名前じゃない?私の偏見だけど。


「失礼いたしました、イザベラ様。

 お名前は存じていたのですが、今日が社交デビューですので、お顔がわからなかったのです。

 お噂には聞いていたのですが、本当にお美しいですね。今日の深紅のドレスも(悪役っぽくて)素敵ですね。とても(悪役っぽくて)似合っていますわ」


「まぁ、そうでしたの。

 これから分からないことがありましたら、いつでもお聞きになって」


 ちょろいな、この子。少し褒めてみただけなのに。騙されないか心配だ。


「ありがとうございます。

 ところで、イザベラ様。先程の母の話なんですけれど、不貞って意味、わかってらっしゃいますか?」

「えっ?」


 あからさまに挙動不審だ。これは、分からないけれど、侮辱してるって知ってて使ったパターンだな。


「私のお祖父様の瞳は赤だったのです。私の瞳の色は隔世遺伝ですわ」

「かくせいいでん?

 ……もっもちろん、知っていましたわ。おほほほほほほ」

「「おほほほほほほ…」」


 えっ!!なんで取り巻きも一緒に笑うの!?


「それでは、私たちはこれで失礼いたしますわ。レオナルド様と少しお話をしますので。

 お暇でしたら、アリアさんもいらっしゃい。

 おーほほほほほほ」

「「おーほほほほほほ」」


 何だったのだろう。意地悪に来たつもりみたいだけれど、それも最初だけで最後は一緒に話そうと誘って帰っていった。

 ……ツンデレ?



悪役のイザベラが好きです!

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