中等部編2
大変、遅くなりました。引き続き、悪役になったら~をよろしくお願いします。
そんなことを願っている間に入学式が始まった。どの世界も偉い人の話と言うのはつまらないもので、眠くなってきた。
私がぼんやりしている間にも式は進み、つつがなく終わるだろうと思われたその時、学園長から突如転入生の紹介があると告げられる。
事前には予定されていなかった為、講堂内はざわめいた。しかし、流石と言うべきか、国の将来を背負っていく生徒達は状況把握も速かった。壇上に上がった女生徒を目にした途端、皆が頭を下げたのだ。当然のごとく、対応に遅れた者もいたが、それは本人の知識と判断力の問題だろう。
極一部のできる人達に、対応が遅れた者はしっかりチェックされていたのだが、努力を怠ったせいなのだから仕方がない。
ぼんやりしていた私はというと、カトリーナとイザベラにすばやく頭を押さえてもらったおかげで、ちゃんと遅れをとれずに頭を下げられていた。
本当に二人には頭が上がらない。後でお礼をしなくては……。
それにしても、私が頭を下げるってことは、偉い人が来たのかな?
好奇心からチラリと盗み見ると、自身の目を疑った。
「えっ!?」
思わず出た小さな驚きの声。しかし、何故こんなことになっているのか、誰かに聞くわけにもいかず、口を閉ざす。
何で、ここにいるの?見間違い……ではないよね。
確認するためにもう一度そっと見れば、淡いピンク色のウェーブした髪と紫色の瞳を持った庇護欲をそそる見た目の女の子と、その少し後ろに、ヘラヘラと軽薄そうに笑う、赤髪を一つに束ねた垂れ目が特徴的なチャラい雰囲気のイケメンが立っている。
「面をあげなさい」
女の子が高慢な口調で言った。
「あー、このお方は知ってるよな?知らない野郎は、滅びろ。可愛いお嬢さんは、俺に聞きに来てなっ☆
中等部の間、結び付きを強くするための準備で留学されたんで、粗相のないようにー」
その一言で、ざわつきはしないものの、意味が分からない者、驚きを隠せない者、睨み付ける者、真剣な表情の者……三者三様である。
「あと、俺の名前はイソトマ・ベイリー。護衛として留学するから。
ここからが重要だから、よーく聞けよ。俺には、野郎共は必要最低限しか話しかけるな。可愛いお嬢さんは、大歓迎だから。嫁さん候補のお嬢さん達、仲良くしよーなっ☆」
重要なことって、それかよ!!
と皆の心が一つになった瞬間であった。
そして、庇護よくそそる見た目の高慢少女はというと、護衛の話などまったく聞かず、まるで吟味するかのような表情で講堂内の(男子)生徒と(男性)教員を見ていた。
似た者主従とは、まさにこのことである。