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番外編:スクラートからの手紙②


 私が手紙を返信した後からは、三日に一度、一通ずつ届くようになったので、郵便システムのことを知ったのだろう。

 自分の迂闊さを責めているスクラート様を想像し、思わず笑ってしまう。


 完璧主義で取っつきにくい印象だったけど、案外可愛いところもあるのよね……。文通を始めて早いものでもう三年。今までのたくさんの手紙の中から最初のものと、一番新しいものを見比べた。


『リーナヘ


 こうやって、文通をするようになってそろそろ三年になる。私の手元にあるリーナからの数々の手紙を昨日読み返していたら、自分の至らなさにやっと気が付いた。

 私にはどうやら手紙を書く才能が欠如しているらしい。

 そんな手紙に毎回丁寧に返事をくれているリーナには申し訳ないが、飽きずに付き合って欲しい。

 三日に一度のリーナからの手紙を心待ちにしている私に自分でも驚いてしまう。こんなことを書いたら君は笑うんだろうな。いつか、リーナも同じように思ってくれるように精進しなくてはいけないな。

 試しに手紙の作法の書物を読んだが、婚約者の間で使うようなものではなかった。何か良い参考文献があれば、教えて欲しい。


 スクラートより』



 最初と比べて、随分と長い手紙をくれるようになったのよね。それにーーー


 スクラート様からの甘い文章に思わず頬が弛んでしまう。


 私も手紙を楽しみにしてるって知ったら、どんな顔をするのかしら。



 三年前の、留学へ向かう前の彼を思い出す。いくら私を尊重してくれると言っていたとしても、ラブレター(こんな手紙)を送ってくれるなんて、無愛想で皮肉屋な彼からはとても想像できなかった。きっと、見た目も中身も驚くほどに成長されたのだろう。

 スクラート様が大人になっていく姿を見れないことは少し残念だけれど、こればかりは仕方がない。



 それにしても、まさか会いたいと思うようになるなんてね……。三年前は絶望しかなかったのに。

 あれほどまでに苦しかった想いも、今ではレーン様にお会いしても僅かに痛むだけになった。

 お心はレーン様に……なんて言ったのに、いつからかその気持ちも薄らいできてしまったように思える。けれど、この気持ちを認める訳にはいかない。レーン様と約束したから。彼の心にはまだ私がいるから。



 けれど……きっとこの気持ちは育っていくのだろう。私の罪悪感をも糧にして。そんな予感を抱きつつ、この想いに蓋をして胸の奥底へとしまったのだった。





初等部編ENDです。ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。

悪役になったら弟破滅!?は暗めなことも多いので、私の息抜き用のかの小説『■急募■ヒロインのいじめかた!!悪役令嬢はおじ様伯爵に嫁ぎたい』もメイン更新にしていきたいと思います。そのため、速度も遅くなると思いますが、完結まで書き続けるつもりなので、よろしくお願いいたします<(_ _*)>

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