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初等部編68

初等部編の追加です。話の間に投稿するやり方が分からず、番外編を一回削除しました。申し訳ありません<(_ _*)>


 その後のパーティーはとても和やかに進んだ。


 カトリーナとスクラート様のダンスでは、身長差があるものの二人とも優雅で美しいものだった。今はまだ、ただのロ●コンにしか見えないが、年齢を重ねるにつれてそれも解消されるだろう。

 途中、スクラート様がレーン様に見せ付けるように抱き上げていたのも…………うん、ご愛嬌だよね。その時に、レーン様にうっかり足を踏まれてしまったエラさんは可哀想だったけど。


 私もファーストダンスをレオくんと踊り、その後にプリオスくん、フランくん、それからジンスとも踊った。かなり緊張したけど、幼い頃から叩き込まれたかいもあって、ダンスは間違えることなく踊れたと思う。

 ジンスとのダンスは途中から顔が近すぎて、恥ずかったことしか覚えてないので不安も残るが大丈夫だと思いたい。……というか、そう思ってないと心が折れそうだ。


 くるりくるりとダンスを踊る人もまだいるなかで、カトリーナとスクラート様が挨拶をして回り始めた。ここには子供しかいないが、王子のレオくんとリカルド様、公爵家の私とノアがいるため王様と王妃様の次にやって来てくれた。


「カトリーナ、おめでとう!!すっごく綺麗」

「ありがとう、アリア!!」


 手を取り合って喜ぶ私たちの隣ではレオくんとリカルド様にスクラート様が挨拶をしていた。そちらは事務的なものなのであっさりと終わり、スクラート様がこちらを見た。


「いつもリーナが世話になっている」

「いっ……いえ。こちらこそ、大変お世話になっております」


 挨拶をすっ飛ばされたことで、スクラート様への婚約のお祝いの言葉を言いそこなってしまった。だが、今更言うのもおかしいため、諦めようかな。そう思った時、カトリーナがスクラート様に咎めるような視線を向けた。


「…………この度はお越し頂き感謝する」

 渋々といった感じで言うスクラート様に、思わず笑ってしまう。これでは、どちらが歳上なのか分からない。どうやら、既にカトリーナの尻にしかれているみたいだ。


「こちらこそ、このような素晴らしい日を共に祝えたことを嬉しく思います。本日はおめでとうございます」


 私が頭を下げれば、ノアも一緒になって美しい礼をとる。顔をあげると、カトリーナが驚いた顔でこちらを見ていた。


「どうしたの?」

「アリアって、きちんと挨拶ができたのね。普段の言動が奇抜過ぎて忘れていたわ」

「カトリーナ……」


 あなたって、私のことをどんな風に思ってたのよ。言えないけど、前世を含めば歳上だよ。それに、王妃候補として、公爵令嬢として厳しいレッスンにも耐えてきたのだから、これくらいは難なくこなせるからね。


 じとりと見れば、さらりと謝罪されたので仕方なく受け入れる。和食が絡むと我を忘れることも多いし、カトリーナが驚いたとしても、まぁ……仕方ないよね。自業自得な部分も大きいし。


 わいわいと少しの間談笑を楽しみ、主役の二人が次の方々に挨拶をしに行こうとした時、レーン様がこちらにやって来た。相も変わらず、腕にエラさんを貼り付けたまま。


「カトリーナ、おめでとう。とっても綺麗で見とれちゃったよ」

 カトリーナを見て悲しげに、けれど愛しそうにレーン様は言った。そして、スクラート様を見てすっと目を細めた。


「スクラート殿もおめでとうございます。年がずいぶん離れているから心配事も多いでしょう?カトリーナが中等部に上がったら、先輩としても幼馴染みとしても、僕がしっかりサポートするので安心してくださいね」


 その表情はにこにこと一見笑っているようだが、目は鋭くスクラート様を見据えている。そんなレーン様に向かって、スクラート様は口元だけフッと笑うと、カトリーナを引き寄せた。


「春から講師として中等部に行くことになっている。リーナのことは私が面倒を見るから、貴様が気にすることではない。それに、そちらの婚約者候補の面倒を見るのが先ではないのか?」


 今にも一触即発な雰囲気の中、カトリーナが小さく溜め息をついた。すると、二人はビクリと肩を震わせカトリーナに視線を向けた。


「今日の日は、誰のためにあると思いますか?」

「私とカトリーナだ」

「そうですね。婚約したと言う世間から見てもとても目出度い日です。そう思いませんか、レーン様?」

「………………」

「今日は何のためにいらして下さったのかしら?」

「……カトリーナを祝いに来たよ」


 ぼそぼそと小さな声で話すレーン様に向かって、カトリーナは良くできましたと言う表情で微笑んだ。


「でしたら、どうすれば良いのか、お二人とも分かりますよね?」


 有無を言わせない極上の笑みを浮かべ、カトリーナはこの場を治めた。けれど、既に婚約まで果たしたカトリーナを巡る2人の戦いはまだまだ始まったばかり。カトリーナを巡る三角関係の日々の幕開けでもあるのだった。





 

こちらの話が思ったよりも明るくならないので、私の息抜き用の悪役令嬢の話も書き始めました!!『■急募■ヒロインのいじめかた!!悪役令嬢はおじ様伯爵に嫁ぎたい』もよろしくお願いいたします<(_ _*)>

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