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初等部編63

分かりにくい部分があったため、加筆修正しました



 間もなく本日の主役が登場するであろう頃、レオナルド王子とリカルド様がやって来た。


 一貴族のパーティーに態々王族が来ることは滅多にない。平和な国と云えど、警備の兼ね合いもあり、視察ならともかくパーティーに出向くのは十二星座を持つ貴族の婚約披露パーティーくらいなものだ。

 因みに婚約披露パーティーは前世でいう結婚披露宴のイメージだ。婚約時にウェディングドレスを着て色んな人に祝ってもらい、結婚時は親族だけで厳かに教会で式をあげる。


 だから、婚約披露パーティーをした後に破局するのは非常に外聞が悪い。どちらかの家が破産するか、大病にかかったり亡くなったりしない限りは婚約破棄になるケースはほぼない。稀に浮気相手との妊娠発覚により破局となることはあるが、それはもう酷いことになる。

 社交界に瞬く間にその情報が広がり、男性は勘当されることがほとんどだ。そして、メイド頼みで自分のことができない令息は庶民になり、最悪路頭に迷うことになる。

 女性の場合は修道院行きが確定だ。そこで我が子と神に遣えながら生きていくことになるのだ。

 やりすぎなのでは?と思わなくはないが、貴族同士の婚約は家同士の結び付きを強める為のものが多い。なのでそのくらいは当たり前なことで、これに加えて多額の賠償金の支払いが課せられる。そして当然ながら、名誉も失われる。何よりも名誉の回復が一番大変で子供の犯した責任の尻拭いに一族で奔走することになるらしい。


 そんな状況のなか、もしカトリーナが婚約破棄をゲームのようにされた場合、どうなるのだろうか。普通に考えれば、処罰されるのはスクラート様のはずだ。だけど、ゲームの中では確か……カトリーナが国外追放されていたはずだ。

 でも、どうして国外追放になったのかが分からない。どんなに考えても思い出せないのだ。ゲームを実際にプレイしたのは私ではなく、友人がしてるのを隣で見ていただけだから細かいことを覚えてないのか。それとも、スクラート様の攻略事態を見ていなかったのか。はたまた、知らず知らずのうちに忘れてしまっているのか……。

 ぞくりと寒気がして思わず腕をさすれば、レオナルド王子が心配そうに私の手をとった。


「寒い?」

 手を暖めるかのように握りこまれる。


「大丈夫よ。ありがとう」

 お礼を言ってその手を外そうとするが、強く握られているわけでもないのに外れない。驚いて顔を見れば意地悪そうな顔で笑っていた。


「今日は母上も来ているから後で声をかけてもらってもいい?」

 手を握られたまま耳打ちをされ、私は動揺を隠すかのように静かに頷いた。すると、先程までのは何だったのかと思う程あっさりと手を離される。


 今までに一度も見たことない表情と態度に悪い意味で心拍数が上がるのを感じる。

 何故?と思いながらも、何処かで納得している自分もいた。思い返してみれば、ジンスに向かってフォークを投げたりと感情的に動く節は昔からあったのだ。私に対してはいつも朗らかで優しい面しか見せなかっただけなのだろう。


 それでも、やられっぱなしは(しゃく)なので、()気無(げな)く足を踏んでやろうとしたら、さらりとかわされた。腹立たしく思い睨み付ければ、悪戯が成功した子供のような顔で笑っている。


「何で笑うのよ」

 不満たっぷりに言えばレオナルド王子は更に笑みを深めた。




 

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