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初等部編57

今日の更新分、遅くなりました。


「アリ……ア…………?何言って……」

 まだ少しぼんやりしているけれど、カトリーナの瞳と視線が合わさった。


「うん、うん!!そうだよ。アリアだよ!!

 カトリーナ、私が間違えちゃった時はいつもみたいに怒ってよ。仕様(しょう)がないなぁ……って笑ってよ。他人行儀になんかならないで!!……そんなの寂しいよ」

 

「アリア…………。

 …………あれ?私、ここで何していたんだっけ?あら?イザベラは?」

 今度はしっかりと私を見て不思議そうにカトリーナは首を傾げた。


「覚えてないの?」

「えぇっと……確かイザベラを呼び止めたのよね。それなのにいないってことは、そのまま出ていったのかしら……?ん!?でも、もう一度座っていたような気も…………」


 混乱するカトリーナに何と説明すれば良いのか、説明よりも先にイザベラを追いかけた方が良いのではないかと悩んでいると、扉を叩く音がした。

 勝手に返事をするのもどうかと思ったが、ここに主催者であるイザベラはいないし、もしかしたらイザベラが帰ってきたのかもしれない。一瞬の逡巡(しゅんじゅん)の後、私が返事をすれば、扉を開けてプリオスが入って来た。


「やあ、おじゃまするよ。美しいレディー達!!」

 まるで今にもスキップでもしそうな軽い足取りに、歌いだしそうな楽しげな声。だが、それに伴わない鋭い目をしている。


「プリオス様、ごきげんよう。あの……、イザベラと話がしたいのですが、今どちらにいるかご存知ないですか?」

 気心の知れた仲だが、ここは学園ではなくピスケス家。幼かった頃ならともかく、次期当主となるプリオスにいつものように接するわけにはいかない。


「いつものように話してはくれないのかい?」

 プリオスはクスリと笑みを浮かべたが、やはり目だけは笑っていない。


「えぇ。私達は学友ですが、きちんと場に合った形でお話しさせて頂きますわ。それで、イザベラはどちらにいますの?」

「一緒にお茶をしていたのだから、レディー達の方が良く知っているのではないかな?」

「分からないから聞いているのです。場所をご存知ないのでしたら、イザベラがよく行く場所へ案内して頂けませんか?」

「嫌だと言ったら?」

「あら、案内すると困ることでもあるのかしら」


 私とプリオスの攻防が続く。イザベラの様子がおかしいので理由を探りに来たが、会わせる気はないと言うことだろうか。仕方がない、素直に理由を言うしかないか。でも、イザベラがレオナルド王子のことで喧嘩したことを知られたくないと思ってるかもしれないし……。


「喧嘩をしたから仲直りをしたいのですわ。お願いですから、イザベラの場所を教えてくださいませ」

「あぁ、そう言うことか。それなら、薔薇の庭園まで案内させてもらおう。イザベラは落ち込むといつもそこにいるからね」


 喧嘩の内容には触れなくてもプリオスは納得してくれたのか、やっと案内することを了承してくれた。庭園まで向かう間も喧嘩の内容には触れず、喧嘩できるほど私達がイザベラと仲良くなってくれて嬉しいと言うことを楽しそうに言っていた。女(たら)しになった今でもシスコンは健在である。



次回は木曜日の更新予定です。よろしくお願いします<(_ _*)>

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