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初等部編 レオナルドside2

今回は短めです。ここも読み飛ばしても大丈夫です。


 だけど、その想いももう終わり。夢を見ていられる時間は終わった。


「アリアのことが好きになった」

「……うん。それで?」

「それだけ」

「そっか。…………態々言わなくても良いことなのに、相も変わらず馬鹿正直と言うか、そこが憎めなくて憎たらしいというか……」


 本当に、初めて会った時から馬鹿正直だった。他の人は僕を相手にすれば恐縮したり、媚びたりするのに、ジンスは一度もしなかった。

 フランやレーン、プリオスだってそんなことはしなかったけれど、彼等は幼少より僕の友人となるよう大人達に選ばれた存在だった。いつかは僕の側近となるために。

 だから、ジンスは特別だった。色んなことを抜きにして側にいてくれる初めての友人だった。それは今も変わらない。


 けれど、僕は実らない想いだと分かっていてもやっぱりアリアのことが好きで、ジンスと今まで通りに接するのが今は辛いのも事実でーーー

「いつか、ジンスはそう言うだろうとは思ってたよ。だから、それまでにアリアの心を僕に向けたかったんだけど…………間に合わなかったか」

 思わず本音が口から溢れた。


 間に合わなかった……。

 いや、端から叶わない想いだったのかもしれないな。アリアは頬を染めることはあっても、僕のことを恋愛対象として見てくれたことはなかったように思う。


 ここで、一時の感情で、僕は大切な友人を失うわけにはいかない。だから、素の僕から王子の僕へと気持ちを切り替える。


「誰をアリアが選ぼうと僕はジンスとは良きパートナーでいたいと思っているよ。ジンスの思い付くものは新しく、柔軟で、この国を豊かにしてくれる。その発想は誰にでもできるものじゃない。君はこの国にとって、なくてはならない存在なんだ。

 …………勿論、僕にとっても」


 最後の言葉だけ王子としてではなく、レオナルドとしての言葉だった。そのことに気が付いたのかジンスはしまりのない顔でニヤニヤと笑う。


「これからも頼むぜ、()()

「だから、王子って呼ぶなって言ってるだろ」


 敢えていつも通りのやり取りをしてくるあたり、もしかしたらジンスも僕との今の関係を気に入っていたのかもしれない。


 まだ自分の気持ちの整理ができていないけど、いつかアリアとジンスを見ても胸が痛まない日が来るだろう。

 でも、今はまだ。もう少しだけ、アリアのことが好きでいたい。諦めないでいさせて欲しいんだ。




 教室に戻った後、アリアから話があると言われた。だけど、まだ時間が欲しくて避けた。良くないことだとは分かっていたけれど、受け止められる準備ができていなかったから。

 

 そんな日が一週間も過ぎた頃、もう逃げ回るのが無理なんだと悟った。まだ覚悟はできていないけれど、カトリーナ嬢に見張られながら僕はサロンへと再び向かっている。

 この恋を終わらせるために。






レオナルドside終わりです。次回からアリアsideに戻ります。


様々な感情を書きたくて、ジンスとレオナルドsideも書きましたがいかがでしたでしょうか?

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