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004 二日続いて驚かされた。

今週は頑張って連日投稿しています。

今日は少し長めです

 超えてはイケない線を越えた気がする。いつかは迎えたいと思ってた事が不意に訪れた。大人の階段登~る♪って鼻歌が聞こえた気がした。リア充が羨ましがれていた本当の意味を知った気がする。俺はこの世界に来て良かったと心底感じた夜だった。否正確に言えば今朝かな!?ゴメン暴走列車の俺はブレーキが壊れてたよ。

お蔭でルルは今も隣で深い眠りについている。もう一泊しようかな……。


 良く見れば、視界の右下に緑色に点滅する信号を見つけた。意識を向ければ自動で、ステータス画面が開く。如何やら俺達のステータスに変更が在った様だ。点滅信号は更新を知らせる合図か、日に日に便利と言うかゲーム化が進んでいく。


『名前:ルル。種族:ヒューマン。性別:女。年齢:15歳。総合LV4。職業:ハンター・F。武器スキル:槍術:LV1。魔法スキル:聖属性:LV1。固有スキル:鑑定眼LV:1。交渉術:LV2。親密度:A。アランの庇護(発動中)。ニケの主人。』


 どうやらルルのステータスが全部見れる様に変わって居る。これってやっぱり固有スキルにも在るけど親密度が関係してるって事かな?

で、何で総合レベルが一夜で1つ上がってるんだ?……俺ってそんなに激しかったのか?少し反省。

他にも可笑しな点は振るっても居ない槍術を身に付けてる事やニケの主人と成って居る事だ。


「俺の庇護ってのは、村長との約束だろうか……まぁ~最大限守ってあげるケド、どんな効果が在るんだろうね」


『アランの庇護とは、異世界人アランが持つ、あらゆる力の恩恵が対象者にも及ぶ事です』


 おっと!突然アナウンスが流れて来た……もしかしてコレも俺の新しい能力か?ならばと他にも疑問に思った項目に目を向けてみた。


『交渉術:相手との交渉を巧く取り計らいます。鑑定眼:見知らぬ品も鑑定できます。レベルが上がれば、物の良し悪しに加えて真贋も判断できるようになります』

 中々便利なスキルじゃないか。今度から窓口にはルルに変わって貰おうかな?

ニケの主人は、実際俺よりルルが可愛がっているし、飯の世話も彼女がしてるし、胃袋掴まれたって事だろう。俺よりルルを優先して守ってくれるなら有難い。

 そして俺の変化と言えば、『編成の効果』だ。パーティーメンバのステータスを観れたり俺の持つ経験値半減スキルの恩恵を受けたりするらしい。要は俺ばかりか仲間も共に強く成り易いって事だよ。


「だ、旦那様……ソロソロご出立の時ですね」

「怠いなら、もう一泊しようか?」

「いいえ!お金が勿体無いですし。先の長い旅です。少しでも急ぎましょう」


 押し切られる様に俺達は宿を出る事にした。女将からニヤケタ視線を受けたけど、まさかコレが嫌で宿を出たとは思いもしなかったな。


逃げる様にルルは町を出た。俺達も後を付いて行かない訳にもいかず、慌てて町を走り去った。知り合いの門番にも挨拶をソコソコに、ルルは少し顔を染めて走り去る。何か……忘れてる気もするが……良いか。


俺達の旅は更に快調に進む。ルルの体力が上がった事が大きかったのだろう。オマケに彼女の槍術もそれとなくサマに見えるから不思議だ。

ニケがエネミーを誘い出し、ルルが槍を刺す。止めが届かなかった時は俺が魔法を発動させた。二人と一匹の連携は日に日に制度と威力を増しそれっぽい形へと成長していった。




ルルの生まれ育った村を旅立ってソロソロ五か月が過ぎようとしていた。

ルルは相変わらず綺麗で可愛いが少し貫禄と言う歩き方がサマに成って居る。

ニケも生後半年チョッとの割にはシッカリとした体つきで、その辺の成狼より大きいかもしれない。これが俺からの恩恵なんだろう。


「今日は何処まで進みましょうか」

「そうだね……食料はまだまだ足りるから買い出しは無くても良いか。それなら距離を稼ぐか資金を増やすかだけど、ルルはどっちが良い?」

「私は町へ立ち寄る方が好きですが、そうでないなら距離を稼ぎましょう。南の方角に進んでいますがソロソロ秋に近付いて居ます。グレイソンへは寒くなる前に着きたいです」

「そっか……だよな。って事はグレイソンまでの正確な時間を知っておいた方が良いか!じゃ予定変更で一度町か村へ立ち寄ろう。それで距離と時間を考えて進むか立ち止まるか決めよう」


 俺達の旅は徒歩が基本だ。偶に乗合馬車を利用する事も有るが、ニケを嫌う奴が稀に居るからだ。だからと言って馬や幌馬車を持つ程でも無い。結構揺れもキツイしね。


 買い物の主導権はルルが持って居る。俺じゃ無駄使いが多いからだってさ。それに彼女には交渉術と鑑定眼が在るから逆らえない。逆に行動の主導権は俺が持って居る。元々グレイソンに向かって居るのは俺の希望だからだ。ニケは当然文句の一つも言わずに付いてくるだけ。なので俺達の旅で揉める事は殆ど無かった。


「コッチの方角に村が在りそうだ」


 南西の方角を指して俺が言うと二人は黙って付いてくる。俺の魔法も進化した。相変わらず未到達の場所では白紙の地図だけど、気配を示す印は有った。今回は黄色の点滅が在る程度の数で示している。黄色は無関係を示す数から言って町では無く村の規模だ。徒歩で後一時間と言った距離だろう。

天気は晴れ。空には雲一つ無い。特別今日どうにかしないとイケない程急いでいる旅でも無い。俺達は遊びながら村へと近づいて行く。丁度ニケが前を駆け出した時だ。


「また来やがった!今度は一頭だ!」


 怒鳴り声が響き村から鍬や鉈を持って来た男達がゾロゾロと飛び出してくる。

ニケは立ち止まり慌てて俺とルルは駆け出して男達の下へと向かう。


「相手は一頭だ。やっちまえ!」

「だけど今度はオスだぞ大丈夫か?」


 ニケに攻撃しようと構えた輩を制する為、俺は間に割り込んだ。


「おいおい!そいつは俺達の連れだ。イキナリ何をするツモリだ」

「灰色狼が仲間だって!?」

「見ろよ!アイツの首に首輪が在るぞ。アレって従魔の首飾りじゃないのか?」

「ちっ!本当だ。こんな時に間際らしい奴らが来たもんだ」

「でも襲われずに助かったな……」


 どうやらこの村で問題を抱えてるらしい。此処はルルの出番だ。少し話を聞く事にしよう。



「って事は灰色狼が最近村を襲ってるって事ですか?」


 騒動の内容はアリがちな事だった。唯、村が襲われた時期は最近の事で今迄灰色狼が村に近付いた事は無かったと聞かされる。


「巣は村の右側に広がる深い森だ。以前は森の奥まで人が入っていたが灰色狼を見た事は無いんだがな……」


 何かが原因で灰色狼が住みついて来たらしい。元々はもっと南の奥深いトコに縄張りが有ったと村人は言う。人との境が近づいて争いごとに成ったのが原因だ。であれば、元凶である南の奥で何が有ったかを調べれば、灰色狼が住みついた事も解かるんだろう。


「俺達が調べて来ようアンタ達は村の中で守りに入ってくれ」

「ハンターに依頼する程この村に金は無いぞ」

「村人が怪我をしたり死んだりするよりは安いと思うが」

「……判った。今回の件アンタ達に依頼しよう」


 村長と話が纏り早速目の前に在る森の中へと入って行く。


「ひぃ、ふぅ、みぃ……数にして七頭居るな……だけど少し変だ」

「何がですか?」

「反応が小さいんだ」

「小さい……ですか!?」

「あぁ~多分……コレは子どもだ。それも五頭全部が子供だ。どう言う事だ?」


 五頭の仔狼が居る事自体は珍しい事では無い。其れだけ大きな群れと言うだけの事だ。但しそれには子を守る大人の狼が傍に居ての話である。俺の地図にはその反応が無いのだ。まるで子供だけの群れ……そんな印象が俺には感じられた。


 さらに注意深く近づいてみるが、やはり反応は変わらない。それ処か風向きでコッチの気配に気づいて良い頃なんだが、まるで無反応と言うより危機感を持ってない群れの様に思える。


『グゥルルル』


 ニケが危険信号を発した。俺の頭の中でも危険信号が鳴り響く。前方の群れの更に奥から大きな反応を示す印が一つ赤く点滅しだした。


『ガゥ!』


 そう叫んでニケが俺の前に立塞がる。ニケの鳴き声でやっと前の群れが反応し始める。群れは一斉に後ろの大きな印の下へ駆け出したのだ。

 もう互いの位置はバレている。隠れて進むのに意味は無い。俺達は屈めていた腰を伸ばし相手に見える様にゆっくりと進みだした。


「可愛い。全部仔狼ですよ旦那様」

「あぁ全部仔狼の群れだ。っで、守ってるのがアイツ一頭みたいだな」


 仔狼に囲まれてるだけに大きく見えるが子守役の狼も決して成狼では無い様子だ。

敢て言えば、ニケと同じ位の若い奴だろう。そしてコイツは雌だ。


「さて、何故こんなにもアンバラスな構成なんだ?ルル……交渉できるか?」

「ええぇっ!仔狼は可愛いと思いますケド流石に狼と話す事なんて出来ませんよ」

「だよな」


 交渉事をするには意思の疎通が大事だ。言葉は相手の感情を読み取り嘘を見抜く。と同時に此方の真意を伝えるのも言葉である。言葉が通じないから相手を理解できず争いが起こるんだが……さて、困った。チビ助ばかりの群れなど物の数ではないが、元々村人と争いが在った群れでは無いと聞く。ならば無用な争いは避けてやりたいのだが……

と俺が悩んで居ると、ニケがそっと前に進みだした。


「クゥゥウウン

「くぅうううん」


 オッとイキナリ会話を始めたよ。まさかニケに交渉事を頼むとは思っても無かったんだが。


 幾何かのやり取りをニケと子守役の雌が交わすと俺の顔を伺うニケ。親密度が成せる業だろうか?何と無くニケの気持ちが伝わる。


「コッチか?奥に進めば原因が解かるんだな!?」


 コクリと首を下げるニケ。仔狼達と子守役の雌は俺達に道を譲り先に進めと催促して来た。ニケを先頭にゆっくりと森の奥へと進む。


一度森を抜け、再び深い森へと進む。奥へ向かう程キツイ匂いが辺りに漂い出した。


「旦那様!この臭いは!?」

「あぁ間違いない。赤熊だ。それも結構な数の群れが居るぞ」


 木々の間からそっと覗いてみれば、赤熊の親子が何組も群れを成して居付いていた。赤熊の習性としては親子であっても育成期を過ぎれば離れて暮らすものだ。狼の様に群れを成すなど有り得ない。それだのに俺達の目の前に居るのは何頭もの群れを成す異常な光景だった。

赤熊の縄張りは広い。この森では精々二頭が限界だろう。多分過去は、そうだった筈だ。だから灰色狼は、この森に縄張りを持つ事が出来た。だが、原因は判らないが赤熊の異常繁殖と留まった事で灰色狼とエサ場を賭けた戦いが有ったのでは予想できる。そして根本的な力の差で灰色狼の大人達は皆死んだんだ。仔狼と子守役を残して……。

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