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 オッサンに呼ばれ家に向かえば、其処は馬鹿デカい邸宅だった。想像以上の貴族だと悟ったが。オッサンは俺達に今迄通りの態度を求めて来たので其れに応えてやる事にした。自慢話交じりのダラダラとした時を過ごす中、俺は刀と出会う事に成る。刀身を眺め心を奪われる俺。『異界の剣士』スキルで型を披露すれば、オッサンが古い鎧を前に用意する。思わず袈裟斬りを行った俺。借り物だった事を忘れてたわ。


「スマン!遂、刀を振り下ろしてしまった。申し訳ない」

「何気にするな。鎧を置いたのはワシの指示。しかし……ものの見事に切り落としたものだ。コレがカタナの本領と言う事か。初めて見たぞ」

「旦那様凄いです。カタナを求められる理由が判った気がします」


 怒る処か褒めるオッサンに如何してら良いか困ってしまう。本来であれば、他人の刀に触れる事すら憚れるのに斬ってしまうとは……。この感情はスキルのお蔭だと俺は思った。カタナに対する思いと言うか敬意までもが身に付くのか、怖いな。


「先代の時から在った物じゃが、ワシを含めて此処まで扱えるものは居なかった。時折眺めている程度じゃったが、やはり武器は武器じゃな。飾っての何の意味も無さぬ。久し振りにカタナも本物の剣士に握られて喜んでおるじゃろう」


 欠けて居ない事を見定めて、くもりが無い事を確認し鞘に納める。鎧を片付ける騎士に刀を預ける俺。流石に鞘に入ってるとは言え、直接家の主に渡すのは変な勘繰りされるのも不味いからね。


「更に懐が読めなくなったな」

「それ、褒めてるのか警戒されてるのか解かんねぇな」


 ガハハッと笑って誤魔化すオッサン。にしても、刀に触れた事で一層欲しく成る気持ちが高まった。


「実はなお主達に頼みごとが在る」

「ここでか!?オッサンは、やっぱ古狸だな」

「古狸って何ですか旦那様」

「悪賢いって意味だ。俺に断り辛い方向に話を持ってく奴って事だ」

「ガハハッ。それは良い言い回しだな。ワシの廻りはそんな連中ばかりだ。気に入った!今度ワシも奴らに使う事にしよう」

「まるで、狸と狐の馬鹿仕合じゃねぇか」

「其れも頂こう!何と無く意味が分かったぞ」


 嫌味を言うだけ無駄っぽい。俺は受けれるか判らんと前置きをしてからオッサンの話を聞く事にする。


「ワシの孫娘に御転婆な娘がおっての、親が甘やかすもので剣の道を覚えた。其処まではワシも許したのじゃが、今度は親の目を盗んで冒険者の手続きまで済ませて居るのじゃよ」

「貴族の御姫様なら、それでも家に閉じ込めるかサッサと嫁に出せば良い話じゃないのか?」

「この国では、冒険者と成ったならば迷宮に一度も入りませんとはイカンのじゃ」

「王族でもか?」

「そうじゃ。だから貴族は子女と跡継ぎには何が有っても登録はさせぬ」

「それを掻い潜って登録したと成れば、相当なヤンチャ姫って事か」

「そう言う事じゃ。このままではソロでも潜りかねない」

「お目付け役って事か」

「話が早くて助かるの」

「期限は?雅か未来永劫って事は無いよな!?」


 俺の質問にオッサンは言葉を濁す。オイオイって感じだけど、全部を丸飲みする訳にも行かない。ましてそのヤンチャ姫の腕前次第じゃ鼻っから断りをしないといけないしね。


「今は里に帰って居る。祖父のワシが言うのも何じゃが、器量も中々のモノじゃ。ルル殿に負けず劣らずじゃぞ。いっそ腕前が無ければ良い娘なのじゃが……正直、女である事が悩ましい。アレでは、嫁の貰い手もおらんでのぉ~」


 貴族様で腕が立つ姫様って、確かに貰い手も困るわな。この時ばかりはオッサンに同情するよ。


「期限については、当人と話し合ってくれ。なんじゃったら嫁に貰っても良いぞ。両親から既に承諾は得て居る」

「何馬鹿な事言いやがる!大体そっちは、貴族様でコッチは平民だぞ。其れに俺には、ルルが居るんだ。預かるだけでも悩んでるってのに変な事言うなよ」

「あら!私は旦那様の奥様がこうも早く決まるなら嬉しい限りです。ただ、捨てずに御傍には置いて欲しいのですが」

「ルル殿。心配なさるな!結婚の順番など気にする事も無い。なんならルル殿も一緒に式を挙げては如何だ?」


 おいおい!話の方角が変わってるぞ。ってか、この国は重婚おkなんっすか!?

嫌々待て待て!相手は貴族の御姫様だ。暮らしだけでも浪費が凄ェンじゃないのか、アレ?俺まで結婚する方向で考えて無い?冗談じゃないよ。オレまだ16だよ。


「と、ともかくだ!結婚の話は無しだ!預かるって言うかパーティーを組むかは、本人の腕次第だ。だいたい、その姫さんもコッチを受け入れるかは判んねえだろ」

「大丈夫じゃ。娘の家にお主が売った毛皮を一枚送り届けて居る。お主達の腕前はアレで実証済みじゃ」


 バランさんよ~金が要るからって見境なく売るなよ~コッチの首が締まっていくじゃんか。


 結局オッサンに押し切られる形に成った。時期は未定だけど、お褒め様がオッサンの家に着たら面談って事で一応話はケリが付く。

刀をオッサン経由で買えないかと尋ねれば、国交を結んでいないと言われた。先代の時にあの刀は使節団が持ち込んだ物の一振りらしい。


「一応当たっては見よう」


 それがオッサンの回答だった。

そして、時は夕暮れ時と成り本来の目的、会食と成る。今宵は泊まれの一言で、馬鹿デカいお屋敷に寝る事に成ったが、デカ過ぎて気味が悪い。気が付けばルルと一緒のベッドで寝てたよ。だ・け・ど、他人の家だ。俺でも節操位は持ち合わせてる。今夜は大人しく抱き合って寝ただけさ。


「なんじゃ宿は引き払ったのか?」

「家が完成する目処は聞いてないしな。ドレだけの日数が掛かるか判んねのに、バカ高い宿にいつまでも寝泊りできねぇよ。身分相応の宿を探すさ」

「金なら金貨千枚近くも持って居るじゃろうに意外とケチじゃな」

「ケチ言うな!ってか人の財布の中身を把握してんなよ」

「まぁ~良い。元の宿に帰れ。宿代はワシが話しを付けて置く。良いな」


 貴族の我儘も、此処までどうに入るってのなら立派だよ。泣きを見るのは宿屋の方だけど、風呂が在るのは正直有難い。今度何かで、お返しでもして誤魔化そう。


 帰りもオッサンの馬車で来た道を戻る。既に話は通っていて、俺達は昨夜と同じ部屋に留まる事に成った。因みにバランさんへ改装の目安を聴きたいって事付けしたら、俺達が宿に着く頃、見知らぬ人を連れて訪れてきましたね。


「アラン殿。此方魔導具の責任者『アシモフ』さんです」


 俺の仕掛けに甚く興味が沸いたらしく直接話が聴きたいんだと。色々話を詰めれば、バランさんが言う通り屑魔石でも何とか成りそうって話です。序に一式を商品化して販売したいってバランさんから提案されました。売り上げの一部が入るならお好きにどうぞって奴ですよ。


「それで、工期はどれ位掛かります?」

「今の話だと水路≪パイプ≫も後付けできそうですから、同時進行で行けそうです。それだと通常の改装と同じに考えれば……二か月程でしょうか」


 俺が求める仕掛けは全部ユニット式の後付けおk。じゃないと他の家にも取り付けできないからね。引っ越しの目処が立つなら、フロントにも伝えておかなきゃね。


バランさん達も帰る頃には、今日も陽が暮れる時間に成った。夕食を済ませたらルルと一緒にお風呂に入ろう。昨日我慢した分、暴走列車が大変な事に成ってるんだモン。


「だ、旦那様、許して下さい……」


 だってさ。

そうそう。いい加減ルルの立場もちゃんとしなくっちゃね。彼女の勘違いを正しておかないと、お姫様が来た時に話が余計に混じっちゃうよ。


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