010 ギルド
冒険者ギルドへ顔を出した。以前寄ったハンターギルドより数倍は大きい建物だ。
窓口も10個もある。螺旋階段も在って三階まで施設が在る様だ。
時間がズレているの居るのだろう。建物内に冒険者は殆ど居ない。俺とルルが入口付近でギルド内を眺めていると声を掛ける女性が居る。如何やら案内係の様だ。
「どういった御用件ですか?」
「登録と言うか、冒険者に関してお話を聞きたいと思いまして」
「では一番左端の窓口へどうぞ」
勧められた窓口には、俺達と同じ位の若い女性がチョコンと座って居る。
案内係へ伝えた事と同じことを言えば、受付嬢は笑顔で簡単な説明を始めた。
『冒険者とは:迷宮内でエネミーを倒す事を認められた者』
『冒険者とは:F級からSSS級までのランクに分けられる』
『ランクとは:資格と昇格試験によって得られる』
『資格とは:立ち入る事が許される階層が有り、成績で得られるものである』
『階層とは:迷宮には49階までの下層。51階から99階までの中層。それ以上の上層の三つに分けられており、階層を上がるには資格が必要である』
『成績とは:討伐実績及び依頼達成によって定められる』
『迷宮内で取れる魔石はギルドに全て販売する事』
経験が浅いモノは低い階層しか入れず、熟練者程上を目指せると言う事だ。
「ハンターとの大きな違いって在るんですか?」
「特には無いですね。冒険者は迷宮の在る地でしか活動しない!位でしょうか」
そんなもんか。人が冒険者にこだわる理由がイマイチ解からないな。
俺が疑問を持てば、受付嬢が思い出したように付け加えて来る。
「そうそう!驚かれる方も多いのですが、迷宮に入る毎に魔導具『生還の腕輪』を冒険者さんは、装着されるんです。その魔導具に掛かってる魔法のお蔭で、万一の場合は教会の『生還の間』にて蘇生される仕掛けなんですよ」
はい!?と驚かされるセリフだ。俺にとっては有難い話だ俺の我儘に付き合わされるルルに万一の事が在ったら……唯一の不安だった事が消える。
「判りました。それで冒険者登録をしたいのですが」
「では、推薦状もしくは、ハンターカードが在れば提出して下さい」
此処で俺は大事な事を思い出した。ハンター資格を取った時、受付の男にコマメに更新しろと言われていたのだ。
「実は、旅を続けてまして、ハンターカードを一度も更新してないのですが……」
「構いませんよ。討伐記録は自動で行ってますから。時間は少々掛かりますけどね。他に討伐が立証できる物例えば、ドロップ品等が在れば、査定と同時に審査対象として受け付けますよ」
「其れは有難い。殆ど売らずに持ってます。何処に出せばいいです?」
手ぶらな俺の言葉に一瞬受付嬢は眉を顰める。しかし俺の態度を見て彼女は疑いながらも査定係りのカウンターへ俺達を連れて行ってくれた。
「此方に提出して下されば、査定が出来ます。ジレットさん。この方の査定お願いします」
受付嬢に変わって男性職員が対応を変わる。査定係りは笑顔で俺に一言断りを入れて来た。
「査定には基準が有ります。毛皮や肉などの削ぎ取り方が悪ければ、査定額が下がる事を了承してて下さいね」
「判りました」
そう返事をして俺はカウンターから零れ落ちる程の毛皮や牙・羽など全部を魔法倉庫から取り出し並べたのだ。
「さ、査定と審査結果が終わるまでの間、此方でお待ちください」
受付嬢は俺が出した数に驚いていた。査定係りは数の多さに汗を流しながら対応している。他の職員は驚くやら同情の顔で、査定係りを見詰めて居る。偶然居た冒険者達は口が開いた状態で、寛ぐ俺とルルを遠巻きで見詰めて居た。
それから、どのくらい時間が過ぎただろう。最初に立った窓口で俺を呼ぶ声が聞こえる。
「アランさん。ルルさん。結果が出ました此方へどうぞ」
「え~先ず、査定結果から報告します。買取り金額は金貨300枚です。其れとこれ等は買取りでは無くオークションへ出品する事をお勧めします」
そう言われて赤熊の毛皮7枚は返品された。買い取るよりも高値で売買される可能性が高いからだ。
「審査結果ですが、問題なく受理されました。F級からのスタートに成ります。カードをお受け取り下さい」
こうして、俺とルルは冒険者と成ったのだ。
「僭越ながら、二、三ギルド受付嬢としてアドバイスさせて頂きます」
受付嬢の顔が変わったので、俺達も姿勢を正しアドバイスを受けるとした。
「下層は49階まで在りますが、早目にパーティーの補充及び装備の強化をお薦めします。ご自分の目で確認すれば、解かる事ですが9階層以上は3人以上。29階以上はそれ以上のメンバーを確保しなければ探求は厳しいと思います。仲間を集める事も有能な冒険者の仕事です」
「そうですか、判りました。頑張ってみます」
正直メンバーを増やす意味が分からなかった。実際に潜ってみないと実感できないのだろう。其れと帰り際にお薦めの宿を聞いた。冒険者として町へ根を張るならば、貸家か家を購入する事を勧められた。どうやらメンバーと同居を勧めている様だ。コレも少し考えよう。ただし、宿には風呂が在るなんて事は無い。そこは譲れない所だね。貸家か購入を考えないとダメなのかな?
ギルドを出れば、ルルが教会へ行こうと提案して来た。考えれば、一度も俺は教会に行った事が無い。『生還の腕輪』の話を聞いた事だし、この際一度位神様に参拝するのも悪くないな。
「此処がこの町の教会ですよ」
「……デカイな」
「何でもこの国では、王都の教会に次いでの大きい教会だそうですよ」
初めて礼拝に訪れた俺に作法など解かる筈も無い。ルルの仕方を横目で見ながら後を真似る。
「アレ?此処は……」
「漸く現れたか『名も無き者よ』我は何をしにこの世界へ参った?」
「へっ!?その声は……まさか、この世界の神様でしょうか?」
「左様。名も無き者よ。己の目的は何じゃ?」
初めて参拝に訪れれば、驚いた事に神様に声を掛けられた。俺は何の為この世界に来たのかコッチの方が知りたいよ!




