表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/12

第六話【知らない事もある?】




―神奈side―



―――ふぅ…


屋上へ上がれば生意気な三年共。


ま、三年の不良だからと言って手加減なんて無いけど………(相手の年齢なんて関係無し)。


「………では…重大な事を話す。今朝、お父様から通知がありました。これからの私たちの行動について」


いつもこんな重大な事を話す時はこんな口調になってしまう。


まぁ………そういう風に仕付けられたんだけどね。


ぇっと………確か…


「………行動は……奴等がこちらに奇襲を仕掛けて来た場合………殺さないまでにやる。

そして――――」


―――これが……最も一番凄い内容……


「…仲間の一人が傷、若しくは致命傷を負ってしまった場合………奴等の命の有無はいとわない。しかし………もしそうなれば………死体は本部に持ち帰る事…」


………随分と凄い内容。


こんな事を言われるのは初めてだった。


………それ程、奴等は危険視されてるんだろうけど。


重い空気が屋上全体に広がる。


凌駕も、龍也も同じ事を思っているに違いない。


「………と言う事…。

結構…難易度は高いみたい」


「そうだな……随分と……」


「……ヤバイらしいね」


「「「………はぁ…」」」


三人の溜息が静かなその場所に漏れ………


「………まぁ、次…奴等が行動を起こすのは………宿泊学習とかだろうから………固まって動く事」


そうじゃないと…何が起きるかなんて………判り切った事だし…


あ、でも待て。


―――


そういう事は………?





………ははは。


ちょっと困るなぁ…。


そりゃ別に『そういう事』とかの心配は無いよ?(そりゃ少しはあるけどさ)


私が心配なのは………着替えとか………風呂とか………


………


うん。守護者への心配とかじゃなく別の奴等に対しての心配ね。


奴等………人が着替えてる間とか風呂の間とかに………


奴等の方ね。龍也、凌駕とかの奴等じゃなく………変態の方。


「………龍也、凌駕…頼んだよ。うん。………奴等、ヤバイから。しかも前回の言い残したあの………………発言」


「「勿論」」


二人は声を揃えて誓いを立てた。


…………


はぁ………


大変…………


――――う゛


奴等め………


……はぁーぁ…


なんか疲れるなぁ〜

なんかさぁ〜…私って普通の女の子なのかなぁと思うんだよねぇ………(勿論、普通じゃないのは重々承知)


………普通、か…


普通って何だろう?

……その前に女の子って何だろう?


まず大前提として………私みたいな事はやらない事…。


それにオシャレとかするとか?



わからないんだよね…………


ま、この仕事をやる事は私の………月遶家跡取りの義務だから。



それに………これが私なんだから。


この仕事があるから『私』が存在する意味を持てるのだから。


だから私は今のままで良い。















……嘘。









実際は嫌。


守護者は私を守る存在。

そう決まってるけどさ………

その役柄のせいで沢山の人が傷付いていく………


主の身替わりとして。


私はそれが嫌。


龍也と凌駕が近くに………

傍に居てくれるのは………

嬉しい、けど………


私の身替わりで傷付くなんて………


そんなの私は嫌。


それに主が守護者を守るのか゛

一番の形だと思う。


………。


龍也と凌駕は知ってるのかな?



――――私の本音を。





―――龍也side―



さっきから浮かない顔をしている神奈。


溜息をついては………また空を仰ぐ。


ずっとそれの繰り返し。


………正直、話し掛ける空気では無いのはわかったけど。


でも話し掛けるしか無い状態になった。


「神奈、もう時間」


「………ぇ?」


こちらを振り向いた神奈の肌が橙色になる。


時刻は既に夕方を過ぎた頃。


グランドからは放課後の部活に精を出している野球部の声。


「……ぁ…ゴメン………

意識飛んじゃってた…」


そう言って申し訳ない様に頭を下げる。


「ん。大丈夫………じゃ、帰る?」


「……ぅ…ん………」



――――――――――

―――



「………そういえば、神奈〜…

俺等はどうすれば良いんだ?」


帰り道。


凌駕は歩く足を止めて真剣な表情で神奈を見た。


「………何が?」


神奈も足を止め凌駕の方を向く。


でも聞かれている内容が理解出来ないらしく首を傾げる。


「部屋とか………さ。

離れるのは危険だけど、宿泊のヤツって先生とかが決めるじゃん?だから部屋は確実に離れる……だろ?それって結構危なくねぇの?」


…………ぁ…


「それなら、私………宿泊の実行委員長だから………どうにかするから大丈夫だよ。奴等の動きも判りやすいような部屋配置にするし」


「………ぁ〜、その手があったか!!」


―――どこでもとにかく委員長なんだな………神奈は……


でも………


「奴等がきちんと『学生』として動くの?」


「………大丈夫だよ。

奴等には………沢山のストーカーがついてるから。


宿泊と言う大チャンス?

をそこら辺の女子が黙ってると思う?


………確実に奴等にたかる」


「………そういう事か…。

何か変な動きをすれば直ぐ近くに居た女子がそれを目撃して………そうなるから奴等は当分…

動けない………」


「…ま、奴等が何をするかなんて判んないから………


生徒の安全保証はしないけど」



そう言った神奈の表情は黒い笑顔になっていた。(笑顔ってオイ!)


安全保証無いって………


大丈夫なのか……?…


「どうせ、これ………親父の罠だろうし」


………親父?


「………検定って所か?

跡取り試験って事だろ?」


………ま、待て!


口調が変わって…………


隣を見ると俺と同じく

神奈の変貌ぶりに口をあんぐりと開けて神奈を見る凌駕。


その視線に気付いた神奈。


「………何?どうしたの?」


するといつもの神奈に戻った。



――――今さっきのは幻覚と幻聴か?



男二人は同じ事を心の奥底で呟いた。












―――『一体何なんだよ?』


まだまだ知らない事があるらしい


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ