第二話【突然の……】
似たような感じに仕上げました。…多分。まぁ、読んで頂ければ判ると思います……。※軽く危ないシーンがあります。
第二話【突然の……】
―龍也side―
キーンコーンカーンコーン……授業の終わりのチャイムは、何処でも有りがちなこの音。
今は五時間目の授業が終わるチャイムだ。
生徒達は、授業が終わったとばかりに、席を立ち上がり次の授業の用意もせずに、何処かに出歩きに行く。
―――非常識。だけど、此処に潜入してからは見慣れた光景だ。
こういう学校なのだから仕方ない。
一先ず俺は、次の時間の用意……―――と言っても、道徳だから筆記用具を机に並べるだけだが―――それを用意して、教室を後にした。
―――さて、廊下に出ると毎回毎回………怪奇現象?が起こる。
周りでは、女子共のきゃーきゃーと言う黄色い声。
凌駕にこれを相談すると、
『お前、モテるからだろ』
と言われる。
……正直、五月蝿くて嫌だ。
俺はその場から直ぐに逃げて、凌駕のクラスへと急いだ。
「………凌駕っ」
「…ん? あ、龍也か」
………ん? あ、龍也か……じゃないだろ。来たのに始めの言葉がそれか。
全く………15歳にもなっても変わらないんだな…こいつは。
まぁ、いいけど。
「………神奈は?」
凌駕と神奈は同じクラスだ。
でも、今見渡した所…神奈の姿は見えない。
俺がそれを尋ねると、凌駕は苦い顔をして溜息をつく。
………何だ、その意味深そうな溜息は…。
そんな事を思いながら、凌駕の返答を待つ。
数秒。
凌駕の口からとんでもない言葉が発っせられた。
その言葉を聞いた俺は、唖然として立っていた。
―――昼休みから行方不明?
「………」
黙り込む凌駕。
俺は目眩がして即座に倒れそうだった。
―――お転婆姫から目を放すと…必ず変な事が起きる。
しかも、だ。守護者は姫からは決して放れてはいけない筈なのに…。
「……凌駕」
「…はい」
俺はにっこりと笑顔で微笑み凌駕を呼ぶ。
返ってきたのは力ない声のみ。
………全く…。
それにしても…ヤバイな…。
俺は偶然にも、あの二人…夜嵜兄弟とクラスが同じだ。
あいつ等も神奈と同じく、昼休み頃から居ない状態で、それを神奈に知らせようとして、此処に来たんだけど………。
神奈が今居ない状態プラス夜嵜兄弟も居ないと言う事を踏まえ、考えると………出くわしてる可能性が高い。
「神奈を探しに行く」
「………ぇ?」
返って来た声は、呆気ない声。
恐らく、神奈から目を放した事を怒られるとでも思ったのだろう。怒りたいのは山々だが、主が今、危険な状態かもしれない今、そんな余裕は無い。
「……今、ヤバイ状態なんだよ」「…何となく、わかった」
一先ず、俺等は神奈を探しに教室を飛び出した。
―神奈side―
夢の中。不思議な感覚は、ずっと前にも感じた事のある感覚。
うっとりとした甘いような感覚………と言った方が、正しいのかどうかは判らないが。
と、そこに誰かの声。
(……さて……うする?……)
その声が頭の中に響く。
………その瞬間、ぞっ、とした感覚に襲われ、私の意識は覚醒した。
「………!!!」
「やぁ、お嬢さん。お目覚めかな?」
目の前には、あの二人が座って居た。
直ぐに私は今、置かれている状況を理解した。
………私は抵抗手段の武器を取られ、おまけに柱に縛り付けられている状態だった。
所謂、篭の鳥だ。
「………何するつもり?」
私は怪訝そうな目で、二人を見た。
すると、柊は私の顎を掴みくいっ、と上げた。
………はい?
何だか…危険なような……。
「………こういう事」
柊はにっこり微笑むと、その微笑みとは裏腹に、荒々しい口付けで私の唇を塞いだ。
「……ん、…んッ…!!?」
混乱する私は、先程とは違い状況を理解する事が出来なかった。
その前に思考が働かない。
唯、直ぐに理解出来た事は………このままじゃ、犯されるッ!!
抵抗しようとも、縛られていて上手く身動きが取れなくて。
深くなっていく口付けに、抵抗する事も出来ず、涙だけが溢れていく。
思考がついていけない私なんて、気にせず、柊は私の服に手を伸ばした。
「……ちょッ……ゃめッ…」
私は拒否の声を出すが、聞いてくれる筈も無く。
少し離れた唇をまた、強引に押し付けて、制服のリボンを外し。
第一、第二ボタンも外していく。私はもう、まともに喋る事は出来ない状態になっていた。
もう、怯えて涙を流す事しか出来なかくて。
―――とその時。
誰かの声が、私の脳内に響く。
「―――退け。さもないと撃つ」その声と同時に、柊は私の唇を解放して、橸と一緒に後ろに跳んだ。その声の主は、素早く私を守るように私の前に立つ。
………龍也だ…
「…遅くなってゴメン」
龍也は私にすまなそうに謝る。
寧ろ、来てくれてありがとう…。でも、私にはそれを言う気力はなく。私は横に少し首を振った。
調度その瞬間、もう一人が出て来て、柊に跳び膝蹴りをかまして、派手に登場した。
「到着ッ♪」
………凌駕…。
二人が揃ったのを見た、柊と橸は苦笑いして意味深そうな言葉を残して、その場から姿を消した。
“まぁ、二人揃った事だし御挨拶はここまでかな。続きを楽しみにしてるよ…じゃ。”
意味深な言葉はずっと私の頭の中で回っていた。
龍也は柱に縛り付けられている私を開放しようと、私を拘束していた紐を解いた。
一気に体の力が抜けて………私は、龍也にもたれ掛かる状態になって。
龍也は少し驚いたような顔をしたけど、優しく微笑んで私の頭を撫でた。
その瞬間、また涙が込み上がって。
「……ぅッ……怖かった、怖かったよぉ…ッ……」
泣き出す私を、龍也と凌駕は優しく宥めてくれた。
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