〔訂〕第一話【噂の転校生】
前回の第一話の方とストーリーはあまり変わっておりませんが、色々と本文が変な所があって修正しておりましたが………そのお陰で、文章は大きく変わり、文字数は大幅にUP…。予定ではあまり変わらない筈でしたが………凄い文章の変わり果て様…。しかしストーリーは変わらずの状態で、お送りします。今回は誠にややこしくしてしまい、すみませんでした。では、訂正版どうぞ。
第一話【噂の転校生】
―神奈side―
あれから数日が経った。
スパイは転校生である可能性が高い。と言うか、確実に転校生がスパイだ。
だから、誰がスパイだかは見当が着いた。
この前、転校して来た奴。
双子でイケメン、シンメトリーとか何とかで、生徒達の注目の的となっている。勿論、多くは女子の支持が高い。
―――私が、思うにこいつ等がスパイだろう。
少なからず、このタイミングで来たのなら暫定的にそうなる。
確定的な証拠はまだ、見つけてはいないけれど、何れ、尻尾を出すでしょうしね。
キーンコーンカーンコーン…
午前中の授業が終わり全員、昼ご飯を片手に色んな所へ散らばった。………今日の午後の授業は確か…HRホールルームの時間…。
………さぼっても問題ないわね。私はニコッ、と微笑み自分の荷物を手に、教室を後にした。
私が向かったのは、意外と人のいない屋上。
………たまに、不良が居るけれど別に、気にしないわ。
絡んで来たら、蹴散らすし。
―さて、今日は誰が居るかしら?そう思い、屋上の扉を開けた。
………誰もいないわね。
私は誰も居ない事を確認して、屋上の鍵をマスターキーで閉めて、壁にもたれ掛かった。
―――今判っている情報は………名前、スパイとしての資質と実力、この学校に来るまでの経歴、家系………そこら辺かしら。
―――名前は兄方が夜嵜柊。
そして弟方が夜嵜橸という名らしい。
スパイとしての資質は、まあまあと言う所かしら。実力もまあまあ。何故って、今まで夜嵜なんて言う家名は聞いた事がないから。
………ある程度のスパイなら、全て月遶カンパニー情報部の方が、調べてる。だから、家名がその調べた情報に無かったら、よっぽどの実力か新米野郎って事。
まぁ、スパイなら潜入する場合、苗字を変えて潜入するのが、当たり前なんだけど。
だから、実力と資質は微妙。
確定するにはまだ早いわ。
そして、この学校に来るまでの経歴。これもまた、確定的な情報じゃない。女子の話を盗み聞きして知った情報。
その女子の話によると………
『夜嵜橸さんと柊さんは、お金持ちでこちらの方に、別荘があるらしいわ。だからこちらの方に来たのよ!!』
………だから、スパイとして来たんでしょうが。この女子はどうしたらこんな事思い付くのだろうか…。
この情報は紛れも無い、デマ……嘘情報だ。
家系については、これも嘘だろう。あの女子の言葉だから。
………こういう事だ。
『あのお二方は、お母様がいらっしゃらないらしいわよ。だからあそこまで、お優しい人に育ったんだわ……。しかも、御先祖様は、浦島太郎とからしいわよ!!流石、素晴らしいですわ!!』
………普通にスパイなら、家系の事は嘘つくわよ。つか、これどう考えたって、デマでしょうが。
そもそも、お伽話の浦島太郎が御先祖様なんて確実的に怪しいでしょうが………。
………情報らしい情報はここまで。後者二つは明らかにデマ情報。………前者は確定的じゃないけど、後者よりは増しな情報ね。
さて、情報整理は一段落。
涼し気な風に撫でられ、うっとりして………ゆっくり瞳を閉じた。
深い眠りに着いた頃。
誰かの足音で、私の意識は覚醒した。
………誰?。
鍵閉めていた筈…。
………鍵を開けたと言う事は……敵さんの登場ね。
だって、先生とかじゃないもの。足音が。
………しかも、二人。
私は立ち上がり、腰の隠し銃に手を掛けた。
その瞬間、後ろから羽交い締めにされ………。
「……!!?」
何…?一瞬、気配が消えた…!?
………実力も資質もあるじゃない。
「………何、危険性の高い物を委員長が持ってるのかなぁ?」
後ろで、私を羽交い締めにしている少年が、息を殺し笑った。
そして、私の手中の銃を叩き落とした。
………ちっ…。
キィン、と銃は金属音を出して地へと落ちた。
まだ、もう一人居るのに…。
久しぶりに失敗した。
「………何か用?」
私は自分のへまに呆れながら、尋ねる。
当然、敵はこちらの動き、月遶カンパニーの動きについて、探っているのだろうけど。
すると、もう一人の少年が私の目の前に現れた。
―――滔々、二人揃ったわね。
どうする…敵は男二人。
銃が無い今、女一人で対抗するのは明らかに無謀。
それに、きっと今はHRホームルームの時間だから、誰も来ない。
………あの二人に甘えている私が、いけないんだけどね。
だから、一人でこの事態はどうにかするしかない。
私は敵―――恐らく私を羽交い締めにしている方が柊だろう―――に気付かれない様に、ナイフを取り出し一瞬の間に、柊の首筋にそのナイフを当てた。
「………全く…、油断も隙も無いね。委員長は」
柊はやれやれ、と言った風に苦笑する。
―――あんた等が油断したんでしょうが。
心の中でそう呟き、私は賭けに出る。
「放して。じゃなきゃ、あんたの首が飛ぶけど」
これは、脅しや脅迫なんかじゃない。………放さなかったら、本気で私は殺す。
あくまで私は、敵に情けなんて掛けるつもりは無い。
そうじゃなきゃ、自分が死ぬ事になる。私は何があったとしても、死ぬ事は出来ない。
「予告発言どうも。でも、俺等も仕事ってのがあるからさぁ、出来ないんだ……よっ」
私の少し前に居た橸は、一気に私との間合いを縮めた。
―――距離が近距離だった為、避けるには、時間が足りなくて。
私は最終手段として、柊の首筋に添えたナイフを横に流した。
しかし…変だった。
普通なら、血が吹き出す筈なのに………ナイフには血も付着していなく、呻き声も聞こえなかった。そして橸は、呆気に取られて呆然としている私の溝を殴り………私の意識は途切れた。
※非常に文章が変わっていますが、第二話は元第一話後編の話と同じような感じになりますのでご安心を。