表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Home Sweet Home~ぼくの原っぱ~  作者: 高瀬結衣
1/120

ぼくの原っぱ

初めまして、こんにちは。

高瀬結衣 と申します。

『家族』をテーマに、涙と笑いと恋のお話を。

読んでココロがあったかくなれる、そんな物語を目指してます。

お付き合いいただけたら幸せです。



 広い、広い空間に、小さな男の子が、ひとり。


(あれは、俺だ……)


 薄暗いその空間で、小さな男の子の大きな瞳から、涙が溢れだす。

 キラキラと輝く仔犬のような瞳から、とめることの出来ない大粒の涙が、溢れては地面にこぼれ落ち、やがてそれは海となった。

 それでも男の子は、泣き続ける。

 その小さな身体ではとても受け止める事の出来ない、深い、深い悲しみに、涙を流すことで必死に抵抗するかのように。


(あの時、俺は……)


 海はいつしか大きな波を作り、それは大きくうねりを上げ、気付けば俺は真っ黒な海の中で必死にもがいていた。

 言うことを聞かない手足はどんどん重くなり、深く暗い海の底へと引きずりこまれていく。


(苦しいよ……お母さん)


(お母さん……どこ)


 記憶が途切れかけたその時、あたたかい何かに触れた。


 大きな、手。


 ゴツゴツしていて温かなその手は、俺の身体を優しく、しっかりと包み込む。

 涙でぐしょぐしょになった顔をあげると、柔らかな髪を額に落とし、目尻を下げて優しく微笑む顔があった。


 唇が、微かに動く。

 低いがとても心地好い声。

 それは優しく、耳に響く。


 俺は目をつぶり、そして温かで大きなその手に、身体を預けた。


(こうちゃん……)



 そこで、目が醒めた。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ