エピローグ
病院を退院して二日後。
まだ体育なんかの身体を動かすのは厳しいが数日もすれば完治すると言われたが今日から学校に行けるようになった。
今は登校中の道路だ。
「ふぁああー」
誰もいないのをいいことに大きなあくびをする。
カシャ!
正面からカメラのシャッター音とフラッシュが起きた。
どうやら一人ではないみたいだな。残念だけど。
俺はシャッターの音が聞こえた方へとカバンから出した一本のシャーペン投げる。
みごとに黒い一眼レフのカメラレンズに突き刺さった。
「ああ!」
壊れたカメラを凝視しながら嘆いたのは予想通り小鳥だった。
よし。今度は命中したな。
「これ高かったのに・・・・・」
「なんで買ったんだよ」
こうなることわかってただろ?
「リュウくんのことを思うと買わずにいられなかったから」
「うわ!」
なんか久しぶりに引いた気がする。
「そんなに引かなくても・・・・・・」
「すまん。でもそれは無理だ!」
目を見てきっちりと断る。
「そんなところだけ強く否定されても・・・・・」
ごもっともです。
「あと、電柱に隠れてる優花も出てこい」
言われた通り優花がゆっくりと出てくる。
もうなんか慣れてきたぞ?あんまりうれしくないけど。
「はあ~。なんでばれたんでしょう」
「仲良くなったからじゃねえのか?」
我ながら恥ずかしい台詞だな。
「仲良く。そうですか。そうですよね!」
なにを勝手に議論してるんだろうか。まあ、いいけど。
「優花ちゃん。写真撮れた?」
俺には今の「撮れた?」が「盗れた?」に聞こえたけど?
「はい。いいのが」
「本当に?じゃあ、私もなにかあげるからそれくれない?」
撮った写真って俺があくびした写真だろ誰もいらないだろ。
「え!?いいんですか」
欲しいの!?変態の考えることはわからん。マジで。
「うん。私たち、友達でしょ?」
変態同士の友達って・・・・・おかしいと思わなかったのか。
「友達・・・・・友達・・・・・」
なにをブツブツ言ってるんだ?優花。
「はあ~。おまえらといると飽きないな」
率直な感想を言った。
「それって褒めてるの?」
まあ、確かにどちらともとれるか。
「勝手に解釈してくれ」
もうめんどくさくなってきた。
「あの~、こんなときに言うのもあれなんですけど」
優花が失礼しますといった顔で割って入ってきた。
どうせなら俺のストーカーをやってることに失礼してくれないか。
「そろそろ時間が」
優花が手提げカバンから白いスマートフォンを出して画面をこちら側に見せた。
八時二十分。とその画面に書いてある。
「いい!」
ヤバイ、遅刻だ!
俺は小鳥、優花を置いて一人走り出す。
「あ!おいて行かないでよ!」
少し遅れて小鳥が追いかける形で走った。
「小鳥ちゃんこそ!」
そして優花も一番遅く走り出した。
なんで、入院後の初登校に遅刻なんかを!俺は女難の霊でお憑いてるのか!
どうせ、どうせ!
「これからも俺のストーカーまみれの生活が続くんだろうな!」
悲鳴のような叫びが今日も青空を突き抜けて行った。
いかがでしたでしょうか。次回からは別の作品を投稿いたします。
週一での投稿になると思います。投稿日は水曜日ということで。