マジで女子はわかんねえや
今日でテスト全てが終わり明日の木曜日に答案用紙が返される。
「どうだった?手ごたえは?」
帰り道、白河との分かれ道まで三人で帰ることになった。
「うぅ、あんまり自信ない。結構頑張ったのに」
たしかに小鳥はテストの三日間ほぼ寝ずに勉強していたらしい。その証拠に今も目の下にクマがある。
「まあ、頑張ったのはよくわかるけどな。白河はどうだった?」
「私ですか?う~ん。自信のほうはまあまあありますけどどうでしょう」
白河は基本的に成績上位だから心配はないだろうな。一応聞いただけだし。
「流星くんはどうですか?」
「俺か?俺は・・・・白河と同じで自信はあるけどわからないな」
「そうですか。私と同じ、私と・・・・・」
なんかブツブツ言ってるけど呪ってないよな?
「リュウくん赤点がなかったらじゃだめ?」
「ダメだ。それじゃあ、ハードルが下がるだろ」
信号が赤になったので足を止める。しかし話は続ける。
「とくに英語が危ないよ。なんで日本人なのに英語を習わないといけないの」
「屁理屈いうな。立派な社会人になるためだろうが」
「私にはリュウくんがいるから大丈夫だよ!」
小鳥はガッツポーズをした。
「なにが大丈夫だ!俺はおまえを養わねえぞ!」
信号が青になったので全員歩き出す。
「無理やり。脅してでも!」
「ただの脅迫じゃねえか!」
なんで俺は横断歩道で小鳥と漫才をしてるんだ。
「私はこれで失礼します」
そろそろ分かれ道になったようだ。
「おう、また明日な」
「じゃあねぇ、優花ちゃん」
「はい。また明日」
俺と小鳥は白河に手を振って白河は俺たちに頭を下げた。
そのあと小鳥と家まで帰って行った。
木曜日。
「それじゃあ、順番に名前をよぶからぁ答案用紙を受け取ってねぇ」
田中先生の指示で国語、数学、英語、理科、社会の答案用意を受っ取ってくる。
俺の点数はまあまあだな。
国語八十二点、
数学七十四点、
英語七十点、
科学六十六点、
社会六十八点。
俺はなんとかすべて平均以上をとることができた。なんだかんだで勉強会が役だったな。
「白河」
ギリギリ届くぐらいの声で白河を呼ぶ。
「小鳥」
小鳥は前の席だからすぐに振り返った。
「どうだった?」
「私はなんとかクラス上位ぐらいの点数を取れました」
白河はクラスだけじゃなくて学年でも上位だからそれほど心配はしていない。問題は・・・・・
「小鳥は?」
「私は・・・・・」
声は静かだった。これはダメだったか?
「こうだったぁー!」
急に顔を上げて声を上げた。
幸い今はテストの話でクラス全員話合ってて目立ちはしなかった。
白河と一緒に小鳥の答案を見る。
「「おお!」」
俺と白河は声をそろえて感心した。
小鳥の点数は全て平均を越えていた。
平均は
国語五十二点、
数学五十八点、
英語六十四点
理科六十二点、
社会五十点
だったのに対して小鳥は
国語五十四点、
数学七十点、
英語六十四点、
理科六十六点、
社会五十四点、だった。
「よく頑張ったな」
「良い点数です」
「ありがとう。これで約束どおり」
「ああ、遊園地に行ってやるよ」
「やっっったぁーーー!」
小鳥はイスに座った状態でバンザイをした。
まあ、頑張ったからな。
「それでいつ行くんですか?」
「ああ、それ決めてなったな」
「そんなの今週でいいじゃん日曜で」
テンションが上がったまま小鳥が言う。
「おい、勝手に決めるなよ全員の都合とか聞かないと」
「え?だめ?」
う、だから上目づかいやめろ。
「私は大丈夫ですよ」
白河はオッケーらしい。
「私は当然大丈夫」
小鳥もオッケーみたいだ。
「はあー、俺も問題ない」
結局、全員の都合に問題はないようなので日曜日に決定した。
この日に小鳥は授業中も鼻歌なんかを歌ってご機嫌のようすだった。
「現金な奴だな」
しみじみとそう思って授業を聞いていた。
次の日の金曜日もそんな感じだった。
小鳥達いわく土曜日は服を買いに行きたいらしい。
べつに俺は普通の格好じゃなくてもいいような気がするけど。
「女子はわからん」
自宅のソファーで横になりながらつぶやく。
すると急にケータイが鳴りだした。
「いい加減俺もスマートフォンにしたいな」
今だガラケーのケータイを開き通話ボタンを押す。
「もしもし?」
『あ、もしもし?リュウくん?』
電話から聞こえてきたのは小鳥の声だった。
反射的に通話を切る。
そうしたらまた電話が鳴り始めた。
「もしもし?」
『急に切るなんてひどいよ。私なんかした?』
聞こえてきたのはまた小鳥の声だった。さらに今回は不満声だった。
もう一回切ってやろうかとおもったがやめた。
「毎回俺に精神的攻撃をくらわせてるだろうが」
『それはもうしょうがないでしょ?それにリュウくんいくらそういう攻撃してもきかないし』
だれのせいなんだ?だれの!おまえが俺に小さい時から付け回すから俺の精神はひん曲がって精神が鋼にさせられたんだろうが!
「いいから、なんの用事だ?」
はやいとこ小鳥の要件をすませてこのストレスを発散させよう。
『うん。明日なにを着て行ったらいいのかわかんなくてリュウくんにアドバイスをと思って』
なるほど、それでか。
「別に何着て行っても大丈夫だろ。気にするな」
『こっちは真剣に考えてるんだよ。真面目に考えて!』
「はいはい」
ん~。小鳥に似合う服か・・・・・
「なんでも似合うんじゃね?」
『も~、適当に言ってるでしょ?しっかりしてよ』
いや、俺、真面目に言ったんだけどな。世辞なしに表面上はカワイイわけだから本当のつもりなんだけどな。
「じゃあ、俺からするとおまえってわりと活発だからそっち方面で考えたらどうだ」
『うん。わかった。ありがとう』
「あいよ」
納得した小鳥はそういってケータイを切った。
「さて寝るか」
そしてまたケータイが鳴り始めた。
「また小鳥か?」
再びケータイを取りボタンを押す。
「もしもし」
『あ、流星くんですか?』
かかってきたのは白河だった。これも小鳥と同じように切る。
するとまたかかってきた。
『・・・・・少し傷つきました』
再びかかってきたケータイから聞こえてきたのも白河だった。
「すまん。悪ふざけが過ぎた」
ちょっとした出来心で傷つけたのにたいしては本当に悪いと思ってる。
『これはもうお嫁に行くしか』
「そんなことで嫁に来られたら少子化はもう止まってるだろうよ!」
ケータイから白河の笑い声が聞こえてきた。からかわれたみたいだな。
「それで?要件は?」
『はい。明日着る洋服なんですけど』
「ブルータス、おまえもか!」
『はい?』
「いや、こっちの話だ」
なんかわかんないけど無性に言いたくなった。こういうときってだれかしらもあると思う。
「それで?明日の服がどうしたって?」
さっきほどんどきいたから大体予想着くけどな。
『はい。その服についてなにかアドバイスを流星くんからと思いまして』
「あ~、何着てても似合いそうだけどな」
『へ?』
予想してなかった答えに少し動揺したみたいだった。
でも、白河も小鳥とは別種類だけど何着ても似合いそうなイメージがあるんだよな・・・・・
『そ、そうですか。あ、ありがとうございます』
「まあ、参考程度に言うと白河はお嬢様なんだから清楚な服がいいと思うぞ」
『そうですか。アドバイスありがとうございます。時間を割いていただってありがとうございました』
「あいよ」
小鳥と同じ返事で返した。
「ったく、マジで女子はわかんねえや」