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ったく先が思いやられるな


「ごめんなさい。流星くん」


 変わらず小鳥の部屋。

 ようやく目が覚めっ切った白河は俺にいきなり土下座をかましてきた。


 「いいからいいから」


 小鳥にひっかかれたり噛まれたりした俺は諦め気味に言った。


 「ほ、ほら次に白河の家に行くぞ」


 もう、小鳥の家の用事はもうすんだ。

 結果、写真はかなりきわどいものが没収できた。


 「勉強道具も持って来いよ」

 「え、また勉強するの?」


 小鳥は唖然とした。


 「ああ、そりゃな」


 俺は平然と答える。


 「明日からテスト本番だし」


 来晴高校は三日に分けてテストがされるらしい。


 「わかった・・・・・」


 小鳥は落ち込みながらも了承した。


 「わかりました。電話お借りしてもよろしいですか?」


 もしかして車呼ぶきか?まあ、たしかに小鳥の家から白河の家まで徒歩はきついか。


 小鳥は短く「いいよ」と言って白河に電話の場所を説明し始めた。

 そのあと、小鳥と白河は電話のある玄関のほうに行った。

 

 それから数分ほどで黒いリムジンが来た。


 「それでは乗ってください」


 白河に促されるままリムジンに乗り込んだ。

 あ、運転手さんはメイドさんになってるな。それに、このメイドさんって俺が白河の家に始めて行ったときにいたメイドさんだし。


 「それじゃあ、村上さん出してください」

 「はい。わかりましたお嬢様」


 言われたとおり村上さんは車を出した。

 白河の家には一時間ほどでついた。


 「私の部屋にいきましょうか」


 前回と同じでリビングではなく自分の部屋にいくのか。

 そしてこれも同じようにエレベーターで白河の部屋に行った。


 「また俺は命を張らないとなのか?」


 この前は落とし穴に落ちそうななったことを思い出す。


 「大丈夫ですよ。今回は小鳥ちゃんもいますから」

 「だったらいいけどな」


 扉の前につくと何の前振りもなく小鳥が扉を開けた。


 「おま、開けるよぐらい言えよ!」

 「え?なんで?」


 小鳥はかまわず白河の部屋に入った。

 しかし、小鳥には何も起きずに部屋に入れた。


 「あれ?」

 「機能が発動しなかった?」


 小鳥には前の俺と同じような落とし穴は発動しなかった。


 「もしかして、今日は故障でもしてたのか?」

 「それはありえますね。一日中、三百六十五日機能しっぱなしっているのはかなりの困難ですからね」

 「ふう、これで今日は大丈夫だな」


 安心して一歩踏み出した。

 しかし、踏み出した足は床を踏まないで空振りした。


 「俺のときだけなるのかよぉぉーーー」


 今回は白河の手助けも間に合わずに落下していった。


 「おおおおおぉぉぉおおおおおぉぉぉおーーーー」


 ジェットコースターのように左右上下にうねうねと続く落とし穴。

 どんだけ続くんだ?これ?

 そして急にドンッと投げ飛ばされた。


 「いってぇー」


 打ったお尻をさすりながら周りを見た。

 周りは金色に輝いていた。

 だけど俺はそんなものよりも正面にあるドでかい写真にしか見えなかった。

 畳四ッつくらいの俺の写真に・・・・・


 「なるほどな、これがあるから白河はリビングに入れられなかったのか」


 改めて周りを見ると一五人くらい座れそうなソファーにこれまたでかいテレビ、天井にはシャンデリアがあった。左右にはかなり高級感あふれる壺や置物やインテリアの数々。


 「金の無駄遣いじゃねえか?」


 だれもいないことをいいことに失礼なことを言ってしまった。

 すると俺が投げ出された出口から再び「あうぅ」「きゃっ」などの声が聞こえた。


 振り返るっと小鳥と白河が投げ飛ばされていた。


 ちょうどよかった。白河にこのことで話があったし。


 「白河、これなんだ?」

 「え?なんのこと・・・・・あ!」


 白河も落とし穴がここにつながってるとは気づいてなかったみたいだな。


 「い、いやあの・・・・・」


 どうやって説明すればいいのか迷っている様子だった。


 「えぇー!なにこの部屋!なにあのおっきなリュウくんの写真!」


 テンションが急に上がった小鳥は周りをキョロキョロと見渡し始めた。

 もう少し状況を見れよ。


 「まあ、この写真は俺の学校の制服すがただろうな。じゃあ、これ一枚かこれより過激な写真五枚どっちがいい?」

 「写真五枚のほうでお願いします」

 「この写真も別の場所に戻してこいよ」

 「はい」

 「せっかくだし、ここで勉強もするから」


 この部屋はおそらくどの部屋よりも広いし過ごしやすいからここはいい複数で勉強するにはいい場所だろう。俺の写真が無ければだけどな。


 「ちょっと優花ちゃん」


 小鳥が白河を手招きした。


 「ん?なんですか?」


 白河は小鳥のほうに落ち込みながらとぼとぼと歩いて行った。


 「なんなんだ?」


 俺は二人を見ながら首を傾げた。


 「あの写真、コピーして私にくれない?」


 ひそひそと小鳥は言っているがほとんど声が漏れている。


 「ああ、それなら大丈夫ですよ。大きさはどのくらいに」

 「させるか!」


 白河の言葉を遮って止める。


 「え!聞こえてた!?」

 「あんな大きな声で話してたら聞こえなくても聞こえるわ!」


 小鳥は体育会系なのでわりと声は大きい。

 白河は油断していたみたいだから声が無意識に大きくなっていたみたいだけどな。


 「絶対そんなことさせないからな!」


 裸じゃなくてもこんなに大きな写真は十分恥ずかしいんだからな!


 「そんなぁ~」


 小鳥はシュンっと落ち込んだ。


 「これから、テストもあるんだからいいじゃん!」

 「どんな理屈だ!」

 「でも、テストで良い点とったらなにかご褒美でもあげるといいかもしれませんね」

 「急に話題を変えるなよ。でも、それには賛成だ」


 こうやってなにかをクリアすればなにかもらえるっていうのは小鳥にはいい方法なんだよな。


 「わかった。じゃあ、テストで平均以上とったら」

 「「写真撮り放題でリュウくん、流星くんにセクハラし放題!」」

 「んなわけあるか!」


 もうおまえらコンビになれよ。


 「遊園地にでも一緒に行ってやるよ」

 「やったぁー」


 小鳥は飛び跳ねて喜んだ。

 小鳥は小学生のときに俺と小鳥と小鳥の両親で行った遊園地が忘れられなくてまた行ってみたいと前々から言っていたのだ。


 それを景品にするのはどうかと思ったが写真撮り放題なんかより全然いい!


 「ホント?本当に行ってくれるの?」

 「あ、ああ、約束してやるよ。白河も大丈夫だよな?」

 「遊園地ってなんですか?」

 「え!?行ったことないの?遊園地」

 「はい」


 さすがお嬢様、遊園地なんて庶民の遊びを知らないんだろうな。


 「ジェットコースターとかお化け屋敷なんかがある楽しい場所なんだよ!」


 一生懸命、白河に遊園地のことを説明し始めた。


 「へぇー、それは楽しそうですね」

 「でしょ?」

 「でも、行きたいんだったらテスト頑張れよ?」

 「わ、分かってるよ!」


 一瞬忘れてただろ?おまえ。


 「それじゃあ、始めるか」

 「うん!絶対に行くよ!」

 「そのいきがずっと続けばいいけどな」

 「今日こそは寝ないよ!」

 「だったらいいですけど」


 こんな無駄な会話をしながら二回目の勉強会は始まった。

 

 

 一時間後。


 「すぅすぅ・・・・・」

 「おもいっきし寝てんじゃねえか!」


 精一杯大きな声でツッコんだが小鳥は起きなかった。

 そんな俺を白河はクスクスと笑いながら見ていた。


 「ったく先が思いやられるな」


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