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石段は、あなたの心音を覚えている――マチュピチュ2237  作者: 百花繚乱


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第十一章 揺れを守るメス

第十一章 揺れを守るメス


最後の課題は、遺跡の心臓をどう扱うか。

破壊すれば固定は防げるが、酸素インフラが失われ、未来の命が削られる。

保存すれば、また誰かが固定を企む。


綾は制御室に戻り、石に触れた。

合唱の中に、あの夜の患者の拍がある。

だが今は、それだけが突出していない。

他の拍と並び、和音として鳴っている。


(あなたは“ここで”生き直せる)

綾は胸の内側で、その心音の主に語りかけた。

名前を呼べないままでも、聴き直すことはできる。


ルカが提案する。

「心臓を公開しよう。秘密にすると奪われる。共有すれば見張れる」

エスコバルが頷く。

「監視ではなく、合意か」


綾は頷き、条件を作る。

アクセス権を分散。緊急時の手順は透明化。監査は多国籍。

完璧ではない。

だからこそ、生きている仕組み。


ミラが微笑んだ。

輪郭が揺れている。

でも、消えていない。


「揺れるの、ちょっと好き」

ミラが言う。

「痛いけど、あったかい」


綾は笑った。

「それが生きてるってこと」

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― 新着の感想 ―
心臓を壊さず、揺れたまま守る選択が現代的で希望に満ちている。
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