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石段は、あなたの心音を覚えている――マチュピチュ2237  作者: 百花繚乱


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第十章 診断名:未来過剰固定症

第十章 診断名:未来過剰固定症


酸素網が戻り始めた。

だが今回は、選別ではなく“均し”として戻る。

戻り方が、意志を持った救いに変わっている。


救護所の少年の唇が赤く戻る。

綾は聴診器を当て、胸の中で拍が強くなるのを聴いた。


(助かる)

その確信が、胸を熱くする。


遅れて戻ってきたルカは、足元がふらついていた。

綾は脈を取る。乱れている。危うい。


「ばか」

綾は言った。

怒りではない。怖さだ。


ルカは笑おうとして咳き込み、それでも言った。

「君の“ばか”は、救命処置みたいに効く」


エスコバルが報告を受け取りに来た。

数字が並ぶ端末を見て、彼の眉が僅かに動く。


「救命率が上がっている……?」

綾は頷いた。

「数は、あなたの言うとおり大事。でも、数のために人を消すと、結局“数”も減る」


エスコバルは黙り、そして小さく言った。

「管理しにくいな。揺れる未来は」


綾は答えた。

「だから、聴くんです」

「……聴く?」

「人の鼓動を。沈黙を。遺跡の歌を」


エスコバルは去り際、視線だけを残した。

それは初めての“迷い”だった。

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― 新着の感想 ―
救命率の変化が思想の勝利として描かれるのが爽快。
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