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水の国の交流譚  作者:
一杯目・五芒家編
3/10

幼馴染と固有魔法

「……久しぶり、フォリア」

「やっほーイグニ。いつぶりだっけ?」

「あんたが泳ぎまくって珊瑚の丘で頭ぶつけて泣いてた時以来?」

「子供の頃じゃんそれぇ!!」

「あっはっは!……あ、海面に上がろうとしてた時に渦に巻き込まれかけて使用人さん全員に助けてもらった時?」

「それ、っは……5年前!!」

「あーおもしろ。……ごめんて」

「むー……イグニのばか」

「わかったから!許してってばフォリア!今度お母さんの手料理持ってくるから!」

「……ゆるす」


イグニ・ファワリス。フォリア・アルフィルクと幼馴染の人魚であり、血を操る真紅の人魚である。


「……少し鼓動が速いね。結構急いだ?」

「あ、うん。水術大会(すいじゅつたいかい)のエントリーシート出しに行ってて」

「なるほどね。……あなたもう出してたでしょう。その嘘は通じないわよ」

「うぐ」

「そうねえ……薄らと()()の香りもするわ」

「っ、ルミナは悪い人じゃ──」

「へえ、ルミナって言うのねその隷者(れいじゃ)は」

「隷者じゃない!人間だよ!!」

「……何を言っているの?隷者……人間は私達人魚にとって悪魔と呼ぶべき存在よ。足があるから(鱗と鰭がないから)ね」

「それは宗教の話でしょ!?ルミナは悪魔なんかじゃないってば!!」

「聖典にはそう書いてあるわ。聖典がある限り変わりはしない。その人間を連れてきなさい」

「…イグ、ニ」

「人間の秘匿は神の意思に反するわ」

「……うん」


─────


「……貴方が、フォリアの連れてきた人間ね」

「どうも人魚さん。……いや、ここでは水者(すいじゃ)って呼んだほうがいいか?」

「どちらでも構わないわ。水術大会に出るというのなら、それ相応の実力があるということ。”固有魔法”を見せてみなさい!」


……固有魔法。特定の人物や種族のみに扱える魔法の総称。特に後者は”特性”、だなんて言ったりもする。

例を挙げると──


「私の固有魔法はコレ。《(ブルート・)(べへルシェン)》」

「…血か」

「ええ。血液を操る魔法ね。自分の血液に限り、魔力から血液を精製できるわ」

「それは強いな。失血死の心配が無い」

「……貴方、割と容赦ないのね…」


このように、そのもの独自の魔法体系を築くことができる。その属性は血族からの遺伝だったり突然変異だったりで変化しやすいのだが、どうやらイグニ(かのじょ)の場合は遺伝らしい。


「ああ。…そっちも見せてくれたし、見せるとしようか」

「ええ、ありがた──っ、?」

「ルミナ…?えっと、これリンゴだよね?」

「ああ、持ってきた」

「…リンゴを持ってくるだけ?」

「ああいや、違うよ。ちゃんと買ってきたものだ」


持ってきた。どうやら2人とも疑問を浮かべたらしい。家から出た素振りは全く見せずに、いつの間にかその手にはリンゴが握られていたからだ。「買ってきた」などという言い訳だとしてもあまりに苦しいものだろう。異空間に収納する、と言われたほうがまだ腑に落ちる。


「うーんとね、俺の固有魔法は《時間操作(じかんそうさ)》なんだけど、その対象がすっごい細かいの」

「細かい?」

「ルミナ、どういうこと?」

「イメージとてはね、こう…空間の一部の時間を遅らせたりするんだけどね、どれくらい遅らせるか、もしくは進ませるか。個体Aと個体Bの進む時間を同じにするか、差を設けるか。もしくは一方の個体だけ時間操作の影響を受けさせないようにするか、とか……色々複雑でさ。わかった?」

「はぁ……勝てそうにないわね。水術大会じゃ当たらないことを願うばかりよ」

「……ぁえ?」

「あっ、フォリアの脳がパンクした!!」

「何やってんのよ!?ほらさっさと起こしなさいよ!!それだけ複雑な固有魔法扱えるんだからフォリアを起こすくらいできるでしょ!?」

「俺は万能なメイドじゃないんだよ!これに関してはフォリアの脳のキャパがアレだったってこと!!」

「はぁ!?使えないわね!!ったく……《循環(ブルートフロス・)加速(べシュロイニゲン)》。無理やり血流を早めて起こすわ」

「できるならさっさとしろよ…」

「うっ…悪かったわね。貴方の固有魔法が複雑なのが悪いのよ」

「ひどっ」


─────


「フォリアちゃん、完全復活なのです!」

「はいはい茶番はいいから。で、どうなのイグニさん」

「いや、イグニでいいわ。フォリアがこれほど気を許せるなんて、アルフィルク家の誰も居なかったもの…。悪魔とは程遠いわね。強さも申し分無し。……というか強すぎて引くわ」

「酷くないか!?」

「…っふふ、楽しそうだね2人とも」

「…フォリア?」

「あのねフォリア、これは別にじゃれ合ってるわけじゃなくて」

「わかってるよ。…でもよかった。ルミナがイグニと仲良くできたから」

「フォリア……」

「よし、ルミナ(人間)も水術大会に出られるし、悪いやつって疑いは晴れた!めでたしめでたし!」

「……ええ。ごめんなさいルミナさん。人間という括りだけで貴方を悪として見てしまった」

「いや、こちらこそ悪かった。人間が急にここに来たらそりゃあ疑うよな。…改めて、よろしく頼む。ルミナで構わないよ」

「ふふ、わかったわルミナ。水術大会では容赦しないからね」

「受けて立つよ」

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