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水の国の交流譚  作者:
一杯目・五芒家編
12/15

わたしはあなたに惚れている?

「どういうことだ……魔法の進化って」

「そのままの意味だよ。魔法……厳密には君達人間の言う汎用魔法、私達でいうところの水術が進化する。固有魔法は進化しない」

「……汎用魔法だけなのか?」

「ああ。とある魔法使いが発明したと言われている。私も師事したことがあるよ……習得難易度が高すぎて、魔法の後継者が居ないらしいが」

「……あんたは使えてる」

「馬鹿を言え、私の使える進化魔法はたったの6つだ。汎用魔法の総数に比べたら些細なものだよ」


魔法の進化。未知の概念故に、ルミナの思考は通常よりも()()()()()


「なるほど……じゃ、その魔法使いのとこ行けば教えてくれるんですよね?」

「ああ、だが──私の場合は試練を課された」

「試練?」

「ああ。死にかけた」

「簡単に言うな……」

「簡単に死ぬぞ。固有魔法を使ったとしても、一筋縄じゃいかないだろう」

「……わかりました。気をつけます」

「ああ。それじゃあ、今日は来てくれてありがとう。一旦これで終わりにしよう。妹の警護は来週からだよ。……それじゃあ、彼女さんも待っているみたいだし、すぐに行こうか」

「恋人じゃないっての……」

「はは、違かったかい?」

「0から100まで違います」

「初心だなあ」

「余計なお世話ですよ、伯爵」


─────


「……フォリア?」

「ふん」

「……んんー……?」

「ルミナなんて知らないから」

「俺何もしてないぞ……」


現在、イグニは男爵家へ仕事に行っている。なので今はフォリアとルミナの2人きり──なんてことはなく、道行く人々に声をかけられ続け、ルミナもフォリアも疲弊していた。ルミナが人間だからというのもあるだろうが、その最たる要因は──ルミナの容姿にある。ルミナの容姿を今一度見てみよう。蒼く、髪先が薄く透明になっていく……まさに水のような髪に、太陽が2つ灯っているかのような目。どちらも色白な肌によく映える。彼の身体も鍛えられていて、思ったよりも着痩せするタイプのようだ。正直に言おう、モテないわけがない。


「むー……」


フォリアは嫉妬している。勿論、ルミナのことだ。容姿に限らず、ルミナは博愛主義に近しいところがある。

ルミナが水術大会にエントリーしてから、大会当日まで数日の猶予があった。そこでフォリアはルミナに問うた。


【なぜ海に行きたかったのか】


と。

成果は得られなかった。元々漠然とした想いがそこにあっただけの空虚な器の上に成り立っていた、果てしなく脆いワイングラスなのだ。ただ──。


『差別はさ、差異じゃないんだよ。でも差別は差異で起こるんだ。不思議なものだけど、明確な差がそこにある。……海に行きたいって思ったのは、そこに何かを感じたからかもしれない』


ただ、全てが漠然としていたわけでは、ないのだ。


(ルミナ)


フォリアはルミナに惚れている。本人も知る由もないが。フォリアの精神……性格上、人間に対する差別を嫌っていることはある。それでも、小さい頃から刷り込まれてきた環境が、時折顔を覗かせることもある。


(ルミナは……鈍感なんだよね)


たとえ人間とはいえど、人魚の世界でルッキズムは当然ある……というか、人間社会よりも強いかもしれない。それは人魚のDNAが美男美女が多いのか、人間の歪んだ社会が人魚に伝わったのか……それは定かではない。


「るーみーなー」

「フォリア、俺本当に何したんだ……?」

「ルミナが、たくさんの人に声をかけられるから……」

「?」

「嫉妬したの」

「…………しっ、と」

「うん、嫉妬」


鳩が豆鉄砲を食ったような心持ちだろう。呆然というわけでもないが、情報がほんの少し脳からはみ出たのだろう。すぐに正気を取り戻していた。


「そんなことか、フォリア。俺はフォリアに一番感謝してるよ」

「え……」

「俺を拾ってくれて、大会に出させてくれて……何より、こうやって一緒に隣を歩んでくれる。これ以上ないくらい、俺の願望が叶ってる。それは間違いなく、フォリアのお陰だよ。……ありがとう」

「……今更?ちょっと遅くない?それ」

「え、遅い?ほんと?」

「うん、遅いかも」

「えー……いつが良かった?」

「大会終わったときくらい」

「インタビューもあったし、人魚が多すぎて出れなかったんだよ」

「っふふ、時間止めればいいじゃん」

「それはなんか……違うだろ」

「違うんだ……」


揺らめく水面から降り注ぐ光が、そのまま揺らめく照明となってマーレを照らす。


「今日の晩御飯何にする?」

「あおさとサバと……あとなんだろ、イカ?」

「食べ合わせ悪くないかな、それ」

「食いたいもん食っても健康に害はない」

「暴論だー!」

「事実だ」

「どんな事実なのそれ」

「論文にも書いてあるよ」

「そうなの?テラ?」

「いや、ノクス」

「あー、獣人とか居る?」

「そうそう。時間があれば行ってみたいね」

「……いつか一緒に行こうね」

「?……うん」


この国は自由である。ただ1つ、宗教という首輪を除いて。

フォリアちゃんの可愛いところをこれから目一杯書こうと思います。

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