表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/37

第1章続き

 焚き火の明かりはすでに消え、夜露の匂いが森を満たしていた。

 あの夜の惨劇を思い返すたび、カイの胸の奥に鈍い痛みが走る。妹の笑顔、温もり、最後の声――すべてが脳裏に焼きついて離れない。


 セラは少し離れた切り株の上で、矢羽根を一本一本丁寧に整えていた。指先の動きは落ち着いて見えるが、耳は常に森の奥の気配を探っている。


 「……聞こえるか?」

 カイが囁く。

 セラは顔を上げ、目を細めた。「聞こえる。獣じゃない……軽い足音だ」


 その瞬間、森の奥で枝が折れる乾いた音が響いた。二人は同時に腰を低くし、影の中へ溶け込む。

 足音は徐々に近づき、やがて月明かりの下に現れたのは、黒牙団の装備を身に着けた男――だが、その瞳は人間のものではなかった。


 カイは息を呑む。あの、擬態する魔物。

 だが今回は戦闘を仕掛けず、ただ二人を見下ろし、低く囁いた。

 「……森はもうすぐ血に染まる。止められるのは――お前だけだ」


 そう告げると、影は闇に溶けるように消えた。

 残された静寂は、言葉以上の不吉さを放っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ