表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/28

第1章焚き火の始まり

短編です。

 山を越えた先に、その村はあった。

 石垣は低く、家々は木と藁で組まれ、煤けた屋根が夕日に照らされている。畑からは土の匂いが立ち、遠くで牛の鳴き声が聞こえた。

 カイは背負った荷を下ろし、隣を歩く妹のリナに微笑みかける。

「ほら、言ったろ。人が住んでる場所だ」

 リナは安堵の息をもらし、小さく笑ったが、その表情にはまだ不安の影があった。

「……でも、知らない人ばっかりだよ」

「すぐ慣れるさ」

 そう言った瞬間だった。

 村の中央の道を進む二人の前に、一人の少年が立ちはだかった。年はカイと同じくらい、乱れた茶髪に鋭い目つき。

「おい、見ない顔だな。部外者は立ち入り禁止だ」

「そんな決まり、どこにもないだろ」

 カイが眉をひそめると、少年はニヤリと笑い、拳を構えた。

「決まりは俺が作るんだよ」

 次の瞬間、拳が飛んできた。

 カイは咄嗟に身を引き、逆に相手の腹へ軽く拳を入れる。鈍い息が漏れ、少年は膝をついた。

「兄さん! やめて!」

 リナの悲鳴に我に返る。

 少年は鼻血を拭きながら、悔しそうに顔を上げた。

「……強ぇな。名前は?」

「カイだ。こっちはリナ」

「俺はレオ。悪かったな、からかっただけだ」

 互いに苦笑し、ぎこちなく握手を交わした。

 夕暮れ、三人は村はずれで焚き火を囲んだ。薪が爆ぜ、橙色の光が顔を照らす。

 笑い声が広がった、その時だった。

 ――ドンッ!

 地の底から響くような爆発音が夜を裂き、地面が大きく揺れた。

 焚き火の炎が暴れ、リナが悲鳴を上げて反対側へと走る。

「リナ!」

 叫んだ瞬間、足元の地面が崩れ落ちた。


読んでくださりありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ