21.交易
ポンドール公国との交易を始めるにはどうすれば良いかが分からない。
「どうやって始めるの?ポンドール公国との伝手は無いでしょう?」
「俺たちに無くても、もう貿易をやっている領地はいくつもあるから、そこに依頼すれば良いさ。」
「でもみんな東の果てなんでしょ?遠すぎじゃないかな。時間がかかりそうだね。」
「ダグラス侯爵の港からもやり取りしていると言っていただろ?まずはダグラス港に来たポンドール公国の船をタウンゼント港に来て貰うようにダグラス侯爵に話を付けて貰うのが一番早そうだよ。」
早速ブラントン伯爵にダグラス侯爵へお願い連絡を頼むと、3日後にダグラス侯爵から承諾の連絡が届いた。想定より早いと思ったら、ダグラス侯爵は王都に滞在していたかららしい。ただ、次にポンドール公国の船が来るのは早くて20日後なのだそうだ。
「来て貰うのは何とかなるとして、交易って言うなら何かネタがないと困るよね。何が良いのかしら。」
「ポンプとおがくずトイレで良いんじゃないか?来た商人には港の官舎を見て貰って。他に何かあれば勝手に欲しがると思うよ、」
「農産物はどうなの?他にもお酒とかは?」
「そうだね、備蓄の古い小麦を出して、新しいのと入れ替えしても良いかも知れない。それなら利益なしでもこちらに利がある。お酒はだめだよ。熟成が足らないから高く売れない。」
熟成なんて言っているけど、お酒好きな慎二くんはお酒を輸出する気なんてないことはお見通しよ。
「じゃあ小麦の準備だけはしておきましょうよ。すべて見せる訳にはいかないから、貯蔵庫から官舎の蔵に移しましょう。」
ポンドール公国の商人は、当初の予想通りポンプとおがくずトイレ、小麦に食いついた。それに加えて門の開閉に使っていた複滑車の仕組みに驚いていた。
一番驚いていたのは私たちが公国語を話したことだったけどね。次は沖に浮かべてある巨大船かな。帆も人が漕ぐオールの穴もないから、オブジェと思ったかも知れない。
それにしても滑車なんて相当古くからある仕組みなのに、この世界ではそれもまともに無いのかしら。水車小屋とかその脇にあるスクリューポンプとかもまさかだけどこの世界では大発明だったりして。
商人に私たちの経緯、タウンゼントの成り立ちと今後交易を進めたい旨などを記した手紙を公国王に渡すよう依頼し、代償として小麦300kgを提供した。
公国王から良い返答を得られた場合にポンプとおがくずトイレの資料を無償で譲っても良いと言ってあるから、多分とんとん拍子に話が進むだろう。商人にとっては儲けの大チャンスだもんね。とは言っても距離があるから当面は待つしかないな。




