17.反乱の兆し1
結局、タウンゼント港にある漁船が入港できる規模の港にすることになり、それならばと協力することになった。主にライアンとマーサが。
15m級の船が入港する港だから漁港だね。なんて思っていたら、それでも十分な貿易港になるらしい。手漕ぎの船のサイズとしては十分大きな船になるらしく、帆船でも30m級なんだそうだ。
慎二くんが言うには、勝海舟が渡米した咸臨丸の全長は50mほどだそうだ。沿岸を伝って移動する船は10~15m程度で、私の感覚が間違っているんだって。ちょっと納得できない。じゃあタウンゼント港沖に停泊している船はこの世界では最大間違いなしじゃないの。
ふたりには実力の半分以下で作業して欲しいと伝え、実力通りで行えば必要となる工数の5倍の期間で行うことに決めた。急いで浚渫工事をしても、港予定地までの道路がまともじゃないので、道路工事に必要な期間を工期にしたようなものだ。
道路工事は協力しない。だって頼まれなかったし。
ライアンとマーサほか、10名ほどの港建設経験者を残し、帰路につくことにした。最初の目的地はブラントン伯爵邸だ。
ブラントン伯爵邸には、最近は色々な貴族が訪問しているらしい。通常、王都には冬の期間は各地の領主が集まるそうだが、それ以外の季節は自分の領地に留まっている。領地経営のためにはそんなに留守にできないものね。なのに冬でもないのにブラントン領に来るのは何故か。原因は私たち以外にあり得ないね。
なので最初の目的地にせざるを得ない。通過しても電信で呼ばれるし。
早馬でブラントン伯爵に訪問を伝えた後、行きよりも時間を掛けて移動した。野営の回数が2回増えるけれど、お尻の健康には代えられない。
3回目の野営の場所に、ブラントン伯爵からの伝言を持った騎士がやって来て、
『マーシャル伯爵がご相談したいとお待ちです。』
なんて伝えて来た。
「マーシャル伯爵とは驚いたね。タウンゼントから一番遠い方だよ。」
「へー、なんの相談だろうね。」
「流石に遠すぎるから、来訪依頼ではないと思いたいね。君じゃないけどお尻が割れる。」
「あっ、そうだね。もし来訪依頼でも私は行かないからね。」
「うん、それは覚えているよ。でも、もしかすると覚悟が必要になるかもしれないからね。」
「行かないよ。」
「その覚悟じゃないよ。」
えー、何の覚悟?




