12.コンクリート
ブラントン領からの帰り道、以前と同じなら休憩を取らずに進むのだが、今回はタウンゼント領に入って最初の集落で休みを取った。
途中で馬車から降りることが無かったので気付かなかったが、道路がコンクリート舗装されていた。ところどころに獣の足跡があるのがアクセントになっている。道幅も私が整備した時より広がったね。
「セメント生産が軌道に乗ったんだね。知らなかったよ。」
「うん、これを見せたくて休憩したんだ。幹線部分は全部コンクリート舗装にしているよ。支線は予定がないけれど、各集落の中心から外への道路はこれからコンクリート舗装にするつもりだよ。」
コンクリート道路ができるなら、私が威圧で砂利をかためて舗装する必要がなくなるね。
「仕事が減るな。良いことだ。なんて考えているよね。減らないよ。むしろ増えるかもね。支線は今まで通りで進めるからね。
でも、君の能力を使わずに舗装道路ができると言うのは事実だ。」
慎二くんは私の考えなんてお見通しだな。しかも鑑定なんてのもあるからたちが悪いと思います。
「で、だからなんなの?」
私が少し不機嫌そうに尋ねると、
「他の領地の道路が良くなる可能性がある。セメントを輸出すればね。」
おお、新しい産業ができたと言うことか。タウンゼントは農業と畜産業、それから今後は漁業だったのに加えてセメントが追加されるのか。食べ物しか産業がない地域にそれ以外のものができるのはすばらしいよ。豊かな領地になっていくね。
「ただ、今まではただ広いだけで然程魅力がない土地だったのが、豊かな土地になってきたという問題もある。」
「豊かになるのがどうして問題なの?良い事でしょう。」
「うん、良い事なんだけれど、何とかして奪いたいと考える人間が出て来るのが問題なんだよ。」
「例えば誰が…って、わかったよ。王家ね。」
「そう。王家。大型船も見たし、欲しがった。港までの整備された道も体験したからここが豊かに変わったということは分かっただろうからね、」
一度譲り渡した領土が豊かになったから取り返したいと思うのは勝手だけど、今までダメだったのは自分が無能だったとは考えられないんだろうな。無能が取り戻したら元に戻るかも知れないよ。
「だから今後はブラントン伯爵との連携を今まで以上に強化するために動くから知っておいてね。セメントはブラントンには利益なしで譲るし、技術も伝える。
その代わりに王家に対する盾になって貰うつもりだよ。」




