11. タウンゼント国?
『公爵家は他に3家あったのではなかったか?そこには適当な人物はいないのか?』
慎二くんが尋ねると、みな微妙な顔をした。
そんな中、ブラントン伯爵が話し出す。
『人がいない訳ではありませんが、適当なと言われるといないとしか言いようがありません。』
王太子よりましな人で良いんだよ。それすらいないの?終わってない?この国。
『それならやはりサユリ様を王太女にすることはいよいよできませんね。その件はお断り致します。』
慎二くんが冷たい口調で、今までと違い丁寧にそう言うと、ダグラス侯爵が
『それは何故でしょうか。』
と聞いて来た。私も理由を聞きたいよ。別に王太女になりたいって訳じゃないけど、いよいよダメとはどう言うことなんだろう。
『王太女になると言うことは、サユリ様が将来の女王になると言うこと。その時には役に立たない王家、公爵家の面倒をみることになります。不要な苦労を背負い込むことになりますからお断りするのです。』
慎二くんのこの言葉は皆を納得させるのに十分だったようで、それ以上私を王太女にする話は出なくなった。暗にもしなれば王家、公爵家を潰すぞと言っているようなものだ。その位は私でもわかるから、ここにいる人たちにも伝わったのだろう。
私が女王になったところで、威圧で抑えつけることしかできないから、暴君が誕生する未来しか描けない。慎二くんがいなければタウンゼントもこんなに発展していないと思う。慎二くんが王になる方がよほど良い未来が待っている気がする。
結局、王太子問題は結論が出ず、有耶無耶な感じで会議は終わろうとしていた。
そんな時、ダグラス侯爵が、
『結論はまとまりそうにありませんな。ところでタウンゼント公爵、タウンゼントを独立国としてたち上げる思いはございませんか?』
なんて言い出した。
私はとっさに曖昧な表情を浮かべ、微笑みながら慎二くんを見て、意味ありげに頷いてみせた。
『タウンゼントは王家に税を納めている訳でも無く、法も宗教も独自の領ですから、すでに独立国のようなものです。』
と慎二くん。
ダグラス侯爵は少し考えてから言った。
『法と宗教ですか。一度その件について教えて頂きたい。良いものであれば我が領地にも広めたいと思う。』
他の人たちも、我々もぜひ学びたい、なんて言い出した。何かこの人たち、タウンゼントを独立国として扱いたいと思っているのかしら。次はタウンゼントについて知りたい会議になるのかな。もしなってもこの件は慎二くん案件だね。私には無理だ。




