10.秘密の会合
慎二くんの予想通り、国王の使者がやって来た。
『先の件、遺憾に思う。今後も良い関係であればと思う。とのことです。よろしいですかな。』
先の件って、王が船を欲しがった件なのか、王太子がやらかした件なのか、両方なのかが良くわからないね。慎二くんが了解して置けって合図するから了解するけれど。
とりあえず一落着なんだろうか。今一つ納得できない。
「まあいいさ。これでここへの影響は当面ない。王都ではどうか知らないけどね。」
それならセメントができたことだし、ダムと堤防をコンクリートで固める作業を続けることになるんだね。うん、知ってた。
ダムに堤防、道路に港湾整備とやることには終わりが無い。というか見えない。私は道路の圧縮以外は視察の名目で回るだけだけど、回ると言うことは道路を通るということで、結局威圧の繰り返しだ。道がどんどん広くなっていくのは良い事だけどね。
そんなある日、ブラントン伯爵から電信があった、ブラントン領まで来て欲しいとの連絡だ。何人かの侯爵、伯爵が集まるという。
「ブラントンに貴族が集まるって、何か悪巧みかな。」
「なんか楽しそうだね。多分王家に対しての相談だと思うけど、あまり巻き込まれたくないな。」
確かに王都で何かあるなら、距離は置きたいね。でもあいつらが困ることなら一枚噛みたいって気持ちもあるのは否めないよ。
「でも、ここは断れないね。どう見ても原因が俺たちにあるんだから。」
「うん。行こう。でも会議の前にどういう話かは確認しておいてね。」
会合の参加者はダグラス侯爵、ウエルズ侯爵、ヴィアーズ伯爵、バセンジー伯爵、ブーン伯爵、ヨーク伯爵、スコット伯爵、テック伯爵、ハーウッド伯爵。
見事に王領に隣接している貴族家すべてだ。この家がすべて王家に反旗を翻せばクーデターは成功間違いなしのメンバーだ。そういう話をするの?違うことを聞いていたけど。
ブラントン伯爵が口火を切った。
『現王太子は次期王としてふさわしいと思えない。立太子をやり直すよう献言したいと考えるがどうか。』
よかった、クーデターじゃなくて王太子にダメだしの話ね。それなら聞いてた。
『他に王太子としてふさわしい者がいるのか?王弟は王とさほど年も変わらないが。』
慎二くんがそう言うと、
『サユリ様が王太女になれば良い。』
とブラントン伯爵が答えた。
私は驚いたが、極力平静を装い、周りを見回す。
みんな頷いているよ。マジか。クーデターじゃん。
『私はサイベリアンの王位を継げる者ではありません。今の王とは無関係です。』
そう言ってみたが、
『貴女は公爵ではありませんか。公爵家は王家に跡継ぎがいない場合には後継を出す義務があります。ですから王太女となるのは義務なのです。』
とダグラス侯爵が言い放つ。
慎二くん、どうするの?私はキャパオーバーだよ。




