9.後始末
王太子は納得はしていなかったようだが、レオナルドの懸命な説得でなんとか帰って行った。説得できるならもっと早いうちにやって置いてくれないと。
でも要らない波風を立てちゃったけど、良いのかしら。
「ねぇ、王太子、大丈夫かな。」
「当面はね。」
それってすぐに何かある訳じゃないけど、いずれはってことだよね。
「どうなりそう?」
「多分色々騒ぐだろうけど、それだけさ。あれは相当頭が悪いから、いずれは傀儡にするつもりの誰かが出てくるだろうけど、多数派になるまでは時間が掛かるから当面は何も起こらないと思うよ。」
「どうして何も起こらないの?」
「あれの言い分が通らないからね。それを通すと秩序が乱れる。それこそすぐに内乱が起こってもおかしくない。いくら愚かな王と言えども、流石にそれは避けるだろう。」
「すぐに内乱が起こるかもしれないなら、どうして当面大丈夫って言えるの?」
「内乱なら王都で起こるから。タウンゼントに矛先が向かうのはそれが落ち着いてからだから、ここは当面大丈夫ってこと。」
そうなのか。でも放って置いてもいいのかしら。
「今頃ブラントン伯爵が王家に抗議に行っているよ。その連絡はあったからね。」
レオナルドくん、大変だったろうからブラントン伯爵も怒ったのかな。
「王に抗議なんてできるの?」
「王家と言っても絶対的な存在じゃないからね。王太子は絶対的だと思っているみたいだけど。この国は合衆国みたいなものだよ。それぞれの貴族の多数の信認を得ているから王家でいられるだけさ。まあ、領地の広さやそれに伴う兵士の数で抑えている面の方が強いけど、すべての貴族を敵に回したら持たないよ。内乱が起きる。」
「じゃあ、ブラントンからの連絡を待っていればいいんだね。」
「うん。その後、王家から謝罪の手紙か使者が来ると思う。多分使者が来る。」
「使者?手紙じゃなくて?」
「手紙は謝罪した証拠になるから多分出したくないだろうね。使者が来て口上で伝えて終わりにすると思うよ。」
じゃあ使者が来ればこの件は落着ってことだね。




