8.反逆3
ようやく王太子が現れた。
『門を開けよ、タウンゼント公爵。』
公爵って言うことは、私に言ったんだよね。声を始めて聞いたよ。少し高めの声質で、威厳は感じられないね。私がどう答えようかと考えていると、慎二くんが
『お主はソマリに王太子と紹介された者か。自分で名乗らなかったので、お主が本当に王太子なのか我らは知らん。影武者か何かか?』
ここでまともに挨拶をしなかった無礼をそういう形で咎めるんだ。うん、挨拶は大事だよ。
『私は本物の王太子だ、無礼は許さんぞ。』
『お主の名も知らん。ソマリも王太子と言っただけだ。お主は名乗りもせず、ただ居ただけの者にすぎぬ。さっさと帰るが良い。』
うーん、完全に喧嘩を売っているね。どう納めるつもりなのかな。納める気はないかもしれないな。
『私はギャレット・サイベリアン、サイベリアン国の王太子である。ブラントン卿、貴殿からも教えてやれ。』
『シンジ様、こちらにおわすお方は確かにギャレット王太子殿下です。』
あーあ、レオナルドくんも巻き込まれちゃったね。
『ブラントン卿、貴殿が言うならそうなのだろう。だが、なぜここに王太子がいるのか。王太子の訪問など、一切連絡を受けてはいない。王族が来訪すると承っていたから港の庁舎は整えた。ここは迎える準備などしていない。なので迎えられない。ブラントン伯爵領でも同じことをするのではないか?』
『おっしゃる通りです。』
ふたりのやり取りに王太子は怒って、
『もう良い。整えられずとも、応接室はあるだろう。そこに迎えよと王太子である私が言っているのだ。それもできないなら反逆者として扱うぞ。』
『反逆者…。王太子殿下は反逆の意味をご存じないようですね。反逆と言うのは主人に逆らうことです。』
『そんなことは知っている。だから…』
『誰が我らの主人でしょうか。まさかサイベリアン国王がそうだというのでしょうか。もしそう考えているのなら、王にちゃんと聞いておいて下さい。
我らはこの地を割譲しています。サイベリアン国とは法も異なります。税も納めておりませんし、臣下の礼もありません。あえて言えば別の国のようなもので、上下関係などありません。反逆などという言葉は成り立たないのです。
これが最後です。お帰り下さい。』
別の国だって言ったね。これからどうなるんだろう。
ギャレット・サイベリアン:サイベリアン国王太子
レオナルド・ブラントン :ブラントン伯爵家長男




