5.解決?
寝ぼけたことを言う王の代弁者でしかない宰相を少し強めに威圧すると、胃の中にあったものを戻した。少し血が混じっているみたいだ。
ブラントン伯爵が
『お怒りはごもっともですが、少しお待ちください。圧迫を緩めて頂けませんか。』
と言い出した。この人も仲間か、と思い威圧を掛けようとしたとき、慎二くんが私の腕をポンポンと叩き、
「落ち着け。威圧を止めろ。殺しちゃうぞ。」
と言って来た。慎二くんが言うならと威圧を緩める。あれでやり過ぎか。ちょっとカッとしちゃったな。
慎二くんは宰相に尋ねた。
『王太子の事故は王族の問題だと聞いている。お前もその場にいて事情を知っているとも聞いている。違うのか?』
『その通りでございます。が、タウンゼントの者が手を貸していればこのようなことは無かったと王がおっしゃっておりまして…』
『それがサイベリアンの法では許されるのか?』
『通常は許されませんが、王は法の上に立っておりますので、王がおっしゃれば許されます。』
滅茶苦茶な理屈だね。呆れるよ。
『お前は我らがこの地を得たとき、この地の法律はこの地のもので、サイベリアンの法では裁けないと決めているのを忘れたか?それで言うなら、この地の法の上にはサユリ様が立っている。サユリ様が決めればサイベリアンの王と言えども罪に問われるのだが、良いか?』
『それはどう言うことでしょうか。』
『超法規的措置はサユリ様の裁量によると言うことだ。タウンゼントに言いがかりをつけた罪はサユリ様が決める。』
慎二くん、君も結構無茶なこと言うね。
『サユリ様が罪を言い渡す前に王に伝えたらどうだ。今ならまだ間に合うかも知れないぞ。』
宰相は強烈な威圧を思い出したのか、失礼いたしますと言うとすぐに出て行った。
しばらくして、宰相が戻って来た。
『先ほどは失礼致しました。王の冗談を命令と間違え、報告してしまいました。タウンゼント様には何の過失もございません。すべて王族の問題です。』
口からはまだ血がこぼれているよ。これを見てビビったんだろうな。
これで一件落着かな。でもあの王太子、このまま済ませるんだろうか。ちょっと心配ではあるね。早く帰れ。




