3.国王襲来
ついにと言うか、ようやくと言うか、国王がタウンゼントに来るらしい。来いと言われても全然行かなかったから来るのかと思ったが、港を見に来るんだそうだ。このタウンゼント港が国内最大の港になったことを知り、視察に来る名目でやって来る。
誰が知らせたのかと思ったが、道路事情が良くなって以前よりも商人などの行き来が増えていて、特に隠している訳でも無いので知って当然、むしろ今頃になって来たがるのは遅すぎる位だそうだ。ソマリも来るよね、2年ぶり位かな。
ブラントン伯爵からの連絡では、王の他に王太子も来るそうだ。ブラントン伯爵も同行する。王太子は会ったことがないから少し興味が出るよ。
私たちと一番親しいと言うか、頻繁に交流している貴族はブラントン伯爵だから露払いの位置付けで来るんだろうね。宰相では威嚇されるし。
「国王、どこに泊めるの?この屋敷には入れたくないな。」
「港の庁舎に入れておけばいいさ、港の視察と言っているんだからここは素通りしてもらうよ。ブラントン伯爵にもそう伝えてあるから心配ない。」
さすがだね、慎二くん。私をわかってくれている。
「だから俺たちは出迎えに先に港に行かないとね。」
そうか、やっぱり出迎えは必要か。勝手に見て行ってね、勝手に帰ってねという訳にはいかないな。面倒だ。さっさと来て帰って欲しい。
仕方なく港の庁舎に向かい、出迎えの準備に立ち会って待つこと1日。当初聞いていた予定より1日早くやって来た。ブラントン伯爵からはそうなる筈と聞いていたから問題はない。王領の道路事情とタウンゼントとでは違うんだよ。伯爵はそれを知っていたから到着が早まることは分かっていたし、国王としてはタウンゼント領都に一泊するつもりだったのが素通りになれば1日早まるのは当然だね。
領都に泊まれなかったことに王太子が憤然としていたそうだ。知らんがな。偉そうな(まあ偉いんだけど)態度をしたら…威圧案件かしら。
庁舎の前で出迎え、会合室に入ると、王太子は不満そうな仕種をし、それを宰相がなだめていた。それは不満だろう。私たちが部屋の奥に座り、王たちが入口近くに座るのは初めての経験だったはずだ。
出入口から遠い席が上座なのはこの世界でも同じみたいだね。
結局何をしに来たかと言うと、港を貿易港として使えるかの確認と、使えるのであれば使いたいことを申し入れる目的だった。
サイベリアンには小さな漁港がいくつかあるそうだが、貿易に使う船が入港できるほど整備されているのはダグラス侯爵領にあるだけだそうだ。
ダグラス領は王領の南に位置していて、国としてはここより使い勝手が良いはずなのに、ブラントン領を挟んで西端のここを使いたいのは何故かと慎二くんが問うと、主たる港はダグラスで、補助的な港として使えるかを確認したいと宰相が答えた。
嘘くさいね。サイベリアンの影響力を残したいのが本音でしょうに。私でもわかるよ。
王太子は未だに不満そうに座っている。今のところ一言も発していないけど、何か変なことを言って来たら威圧しても良いよね。
ロバート・サイベリアン :サイベリアン国王
・サイベリアン・サイベリアン:サイベリアン国王太子
ブラウンロー・ソマリ :宰相




