1.人口増
召喚されて3年。ようやくダムも、堤防も完成して、基本のインフラ整備は終了した。でも道路整備は続いている。幹線道路の修繕に加え、支線の整備があるからね。日本でも年中道路工事をやっていると思っていたが、必要なことだったんだね。当事者になって初めてわかったよ。
小麦、豆、芋の輪作も1周して、生産性が以前より劇的に上がったので、ほぼほぼ農民だった住人の中から鍛冶や工事、運送などを専門の仕事にする人が増えて来た。屋敷の蔵には1年分ほどの食料が積み上がって、万一の凶作にも耐えられる余裕がある。孤児の中から商人見習いになる子もいたね。算数を教えたお陰だよ。順調だ。
各地の領主貴族は何度も来ていたけれど、サイベリアン国からの接触はまったくと言って良いほど何もなかった。教皇も来ない。王都の催しへの招待はあったけれど、ブラントンを通して断っている。もう独立国で良いんじゃね?
「国ってそんなに単純なものじゃないよ。自分たちで国だと言い張っても、周りの諸国が認めないと結局はサイベリアンの自治領さ。」
周りの諸国?あるの?知らないよ。
「ここ1年で住民が増えた報告があっただろ?半数以上は外国人だよ。難民と言った方が良いかもしれないね。」
西の草原に住み着いた人たちのことかな。森を抜けて来たと言っていた人たちね。森でかなりの人が亡くなったと言っていたから、国境になるのは当然な気がする。でもこれって国民を奪ったことになるんじゃないかしら。その事を言うと、
「そこまで住民を把握していないよ。戸籍がないみたいだから問題になるとは思えない。食糧難で逃げて来た人たちだから、いなくなって貰った方がいい人だと思う。それにここに来たことが判るのは相当先の話だから心配はいらないさ。それよりも治安が問題だね。小百合の威圧の恐ろしさを知れば、やんちゃな奴がいたとしても大人しくなるだろうから見せてやらないと。」
なんか私を人間凶器扱いしているのが少し不満だが、慣れたとは言え我ながら確かに恐ろしい力だ。
「だとすると、その人たちが住む集落まで道路整備だね。」
「うん、ファーウエストまで頼むよ。」
「ファーウエスト?そんな名前なの?」
「うん、今決めた。他に何かいい名前あるなら変えてもいいよ。」
「いいよ、それで。こだわり無いし。」
ただのウエストだったら流石に反対したけどね。自分から見て西だ東だってだけの名前って安易過ぎて頭悪そうだとおもうから。
そう言えば残りの半数近くはどうして増えたんだろう。そんなに子供が生まれたのかな。
もしかすると聞いていた話かもしれないので、
「残りの増えた理由はアレだったよね。」
と誤魔化してみる。
ふっと笑われた。バレてるな、これは。
「そうだよ、来ている文官の家族やら親戚やらがあちこちから来たからね。警官のほとんどはそういう人たちだって言ったよね。」
記憶にございません。




