閑話 着替え
子供たちを着替えさせると、シンジ様の予想通り傷跡が見つかった。鞭の跡、打撲痕が普段見えない服の下に隠されている。誰にやられたのかを聞いてみても、自分が悪くて怒られたと答えるばかりだ。
立ち会っていた修道女も知らなかった様子で驚いていたので、芝居でなければ他の者の仕業なのだろう。
傷跡を記録していると、バーバラが私に声掛けた。
『フレディ様、これからは女の子の着替えですので、部屋から出て頂けませんか。』
確かに女性の着替えなのだからここにいない方が正解だが、私はシンジ様に傷の有無や状況を報告するよう命じられている。女性と言っても年端も行かない少女、幼女たちだ。シンジ様の命令だからと言って退室を拒むこともできよう。だが、バーバラの印象は悪くなる。バーバラの言い分を聞き入れて退室すべきか、命令だからと残るべきか。
瞬時に考え、答えた。
『私はシンジ様にすべての状況報告を命じられています。ですから女の子の着替えと言われ、退室すると命令違反となってしまいます。』
私が命令違反と言ったことで、バーバラは一瞬身を固くした。
『ただ、バーバラが言うのも尤もです。バーバラを信用しますので、私の代わりに少女たちの状況を記録して、終わり次第私に教えて下さい。よろしいですか?』
私をじっと見つめ、少し考えているなと思うと、
『信用頂きありがとうございます。義兄様の立場が悪くなるようなことは決して致しません。お任せ下さい。』
と、決心したような強い言葉で答えた。
『ではこの帳簿に名前と傷の有無、あればその状態を記録して下さい。状態の判断ができない時は、私が見るほかありません。その場合は女の子でも立ち会うことになりますよ。』
『大丈夫です。男の子の傷をどのように記したかは見ていました。できると思います。』
ここに来てようやくフレディ様から義兄様に変わったか。少しは距離が縮まったな。でも、ここからどうすれば良いかわからないな。
シンジ様への調査結果報告のときはバーバラにも同席させよう。報告後にシンジ様に相談させてもらえないだろうか。仕事中になんとなく発展させるにはこれ以上はむりだ。セバスチャンに根回しが要るな。




