11.孤児院2
教会へふたりを3日通わせたが、毎日の報告では特に問題はないとのことだった。
本当に問題はないのだろうか。通いでは不在の時間が多すぎて見落としがあるかも知れない。
『孤児院の子供に着せる服を人数分用意せよ。』
慎二くんは報告するバーバラに命じた。
『用意出来次第教会へ向かい、バーバラが着替えさせよ。教会の者にはさせるな。』
続けて、
『フレディはそれに立ち会え。子供のからだに傷跡がないか確認してあれば記録し、報告せよ。』
慎二くんは小声で私に語り掛けた。
「あって欲しくはないけど、虐待、暴行の跡がないか確認するよ。」
うん、わかってた。私も気が付いていたよ。あの子供らしくない大人しさは普通じゃないもの。
悪い方に予想が当たり、年長の5人の男の子に鞭打ち跡があったそうだ。小さな子や女の子にはそこまでの傷跡がなかったのがせめてもの救いだが、抓られた跡らしいものはあったとのこと。許せん。そんなことをする奴は追い出してやる。
そんな思いで犯人を追求してみると、暴力を振るっていたのは孤児院を出て教会の下働きをしていた者たちだった。
子供たちは誰にやられたかを言おうとせず、自分が悪いことをしたからと実施者をかばっていたので、フレディが孤児院関係者を一人ずつ問い詰めてようやく判明したそうだ。
犯行者たちは、自分たちもやられて来たと言うので確認すると、皆からだに鞭打ちの跡があったらしい。
力で抑え込まれた人は、力を持った時に同じことをするようになりやすい。そう言う教育を受けた訳だからね。暴力の連鎖があるなら止めなきゃ。
でも、どうしよう。体罰禁止を命じるのは簡単だけど、それだけじゃ抜本的な対策としては弱い気がする。
「慎二くん、良い考え無い?」
「うん。そうだね、孤児院常駐者を選定する。そしてブラントンから来ている騎士から1名選出して、教育させるってのはどうかな。」
「騎士に何を教育させるの?」
「ある意味体罰なんだけど、悪い事をした子は鞭打ちじゃなくてトレーニング量を増やす。あわよくば孤児院出身の兵士を育成できるかも。」
「でも体罰は良くないよ。」
「理不尽はものは駄目だ。本人が悪いことをしたと思っていないのに罰を与えても意味がない。本人に納得させた上でじゃないとやらせないよ。」
「納得しなかったら?」
「いくら説明しても駄目なら、最後の手段だね。」
最後の手段って何だろう。
「無視する。もう居ない者とする。」
すきの反対は嫌いじゃなくて無関心




