9.教会
「最近ずっと書き物をしているみたいね、何を書いているの?」
「聖書。」
はぁ?何を言うかと思えば…。でも返事が短い。これは邪魔をするなのサインだ。仕事絡みの書き物の時はいつもまともに返事をしてくれなくて、後で謝って来るのよね。これは晩御飯の時に聞くしかないね。
半日待って、やっと夕食の時間になった。ライアンとマーサも同席しているので、最初は労をねぎらい、今日の進捗を尋ねたりして、頃合いを見計らい慎二くんに聞いてみた。
ライアンたちもいるからこちらの言葉で話す。
『いつも何を書いているの?』
『先ほどはお答えできず申し訳ございません。聖書を書いております。マタイの福音書を抜粋しております。』
あら、ライアンたちの前だから私に丁寧な言葉使いね。
『聖書なんて書いてどうするの?』
『ここの教会をキリスト教に置き換えます。私たちをここに来させたクソ教教会はここには必要ありません。』
クソ教はいいのかしら。
するとマーサが、
『そうですね。私もそう思います。』
ライアンも頷いている。ふたり共、教会に怒りがあるのね。
キリスト教か。あまり馴染みがないな。正月に神社を参拝、結婚式はチャペル、葬式はお寺が当たり前の感性の私としては、八百万の神々っていう方が親しみを持てるんだけど。そう考えていると、慎二くんが小声で
「右の頬を打たれたらっての知っているだろう。小説の資料として持っている宗教関係の資料がこれしかないんだ。」
『この聖書を教会の司祭たちに読ませて、改宗できるのならそのまま、できないなら追い出す。
その時はサユリ様にもお力をお借りすることになると存じます。』
威圧で改宗させるのか。宗教ってそんなに簡単に改宗できるのかな。
『新たに文官の誰かを司教にすればいいんじゃない?』
と、私が尋ねると、
『教会のそれなりの役にいるものは多かれ少なかれ魔法が使えます。できれば残したいと存じます。それにいきなり刷新すると、併設の孤児院にも影響致します。』
孤児院?そんなのあったんだ。見に行きたいな。でも行けるとしたら改宗させてからだね。今のところ敵認定組織だし。




