6.川浚い
今日は川の浚渫見学だ。ライアンとマーサの重機ぶりを見に来たとも言う。
川幅は300mはあるね。河原も入れれば500m以上だよ。どこにいるのかしら。そう思って川を眺めていると、突然川の中央部からこちらの川辺に向かって水柱が放物線を描いて噴出した。水柱に見えた物は土砂を含んだものらしく、川辺に土砂が積み上がっていっている。
「なにあれ。」
「あれはマーサだよ。」
2~3分続いた後、川の中からマーサが顔を出す。本当だ。
『サユリ様、おはようございます!』
『マーサさん、おはよう。ご苦労様。』
挨拶はしてみたが、動揺は隠し切れない。
少し離れた場所からは、同じように対岸に向けて水柱が立った。
「あちらがライアンだね。川の中でここ掘れワンワン状態をしているんだ。すごいだろ。」
凄いなんてものじゃないよ。水中であんなに長い時間潜っているだけでもすごいのに、川底を掘っているなんて信じられない。しかも、川の真ん中辺りから川辺に飛ばしているってことは、200mほど飛んでいることになる。
ライアンは顔を出したと思ったら、すぐに作業を続けている。これもまた凄い。
「なんか、ロータリー除雪車が雪を吹き飛ばしているみたいだね。慎二くんが重機って言っていたのが判ったわ。」
「重機以上だよ。あんなことができる機械は見たことがない。凄いよね。」
私が半ば呆然として眺めていると、慎二くんは土砂の方へ向かった。土嚢作りの指示を出しに行ったようだ。
1時間ほど過ぎた頃、ライアンとマーサは作業を中断して私のいる方に向かって来た。
『お疲れ様。作業は大変でしょう。怪我などありませんか?』
私がふたりに尋ねると、マーサが
『いえいえ、とても楽しいです。遊んでいるようなものですよ。』
と信じられないことを言う。
ふたりは自分たちの新しい能力が楽しくて、川の氾濫を未然に防ぐために役立っていることが嬉しくて仕方がないそうだ。私とは発想が違うね。
慎二くんが戻って来て、4人で10分ほど会話をしていたが、マーサがそろそろ戻りますねと言い川へ向かった。
「1時間働いて10分休憩で仕事を続けるなんてすごいね。働き過ぎだよ。」
「いや、いつもは休憩なんてしていないよ。10時間働き詰めだよ。」
「お昼の休憩はあるから、10時間は言い過ぎでしょうに。」
「昼食の習慣はないそうだよ。だから10時間働き詰め。」
そう言えば一緒にお昼ご飯は食べていないね。って話じゃない。ブラック過ぎない?
「楽しいそうだから彼らに任せているよ。強制はしてないし。」
それで良いのかなー
ライアン・ケリー :召喚された犬人(男)
マーサ・バード :召喚された犬人(女)




