3. 人材登用2
「マシューは帰って貰う?」
私が慎二くんに聞くと、
「いや、全員採用だよ。」
と即答された。
「マシューは調査が目的って鑑定していたんでしょ?スパイみたいな感じじゃないの?」
「うん。そうだね。」
スパイ採用を決めるなんてどうかしている。私がうんうん唸っていると、
「今のところ知りたいのがポンプとサスペンションと舗装だよね。舗装は君のスキルがないとどうしようもない。他の物はもうブラントン伯爵には渡してある。これからやることは石積みダムだから、ダグラス侯爵家には関係ない。」
どうして関係ないと言い切れるのかしら。私がキョトンとしていると、
「ダグラス侯爵領は河川の下流に位置するから、ダムを作る場所がないんだよ。」
といつものように考えを読まれた。鑑定かな?
「鑑定はしてないよ。問題があるとすればセメント工場だけど、これには当面関わらせないから心配はないよ。」
「それに折角来てくれたんだ。簡単に追い返す訳にはいかないしね。好奇心を餌に取り込む努力をした方がいいと判断したんだ。」
慎二くんがそう判断したならお任せね。でも、簡単に追い返す訳にはいかないのなら、これから来る人たちも全部採用なわけよね。ヤバい人が来たらどうするんだろう。
今回来た人は武官じゃなくて文官よね。屈強な武人が来たら…
「何か色々考えているみたいだけど、少人数で来る分にはどんな人が来ても問題ないよ。」
「すごい軍人が来たら怖いじゃない!」
慎二くんは何か信じられない物を見たような表情をして言った。
「多分この世界で小百合が一番強いと思うよ。君の他に誰が海を割れるんだ。
君が不意打ちを食らわない限り、敵はいないはずさ。」
私は最初に威圧で海を割ったとき、その場に居たさかなたちのスプラッターな状態を思い出し、少し気分が悪くなった。あれが人間になるとすると…ぐぇっ、気持ち悪すぎる。
「俺もあの光景が人に変わったのを小百合に見せたいとは思わないけど、最後の手段としてやろうと思えばできてしまうことは覚えておいてね。
とは言え、軍人は来ないと思う。文官を貸して欲しいって言ってあるから、もし来たらそれこそ敵だって言っているようなものだよ。」




