17.獣人1
派遣社員は何とかなりそう、それどころか放っておいたら一杯来そう。皆様結構積極的な感じだった。威圧が効いたのか、はたまたポンプが効いたのか。ポンプな気がする。
この件はさすがにすぐには決められないので、追々と言うことになりました。
二日後、ブラントン邸に宰相がやって来た。なんと、タウンゼントまで獣人が来ると言う。そのための手配はタウンゼント公に頼みたいんだそう。王城での面談を想定してたのに、違ったね。
「予想と違ったね。」
「うん。でも結果的により良い方向だね。多分だけど、獣人の扱いに困っていたんじゃないかな。手元に置いておいても、獣人から見れば王国は誘拐犯だから非協力的だろうし。
パトリシア・ハースト事件みたいな例もあるけど、稀だよね。」
「パトリシア・ハースト事件って何?」
「過激派に誘拐された金持ちの令嬢が、誘拐犯の仲間になって銀行強盗犯になっちゃった事件だよ。そう言うことも稀にあるって話。稀な話だったから映画にもなったし。」
へー、どんな心理状態だとそうなるのかな。
私にはわからないや。
「何はともあれ、一度帰って出直すよ。少しでも穏便な会合にしたいからね。」
「帰ってどうするの?移動に必要なメンバーは今でもそろっているのに。」
「アーロンとアミーズにも来て貰うんだよ。被害者仲間を勢揃いさせるんだ。彼らにも協力して貰った方が、穏便に進む可能性が高まると思うんだ。」
確かに。猫ちゃんたちの癒しの効果は大事な要素だと思う。
慎二くんはブラントン伯爵と今後の進め方の打ち合わせをした後、宰相への回答を依頼し、私たちはタウンゼントに帰った。
『アーロン、アミーズ。お願いがあるんだけど。』
『『なあに?』』
『私たち以外の召喚被害者がいたでしょ?その人たちを迎えに行くの。一緒に行ってくれない?』
『いいよー。』
アミーズは即答で了解してくれたが、アーロンはよそ見をして顔を洗って答えてくれない。
『ねぇ、アーロン、駄目?』
相変わらず顔を洗っている。
『私だけで良いよ。アーロンは留守番ね。』
アミーズがそう言うと、
『わかった、行くよ。その代わり、ちゃんと守ってくれよ。』
あれ?どこにいるかわからないって言っていたんじゃなかったっけ。会ったことが無いはずなのに怖いのかな?
『怖いの?』
『うん。猛獣の匂いがしたんだ。』
猛獣か。やだ、私も怖くなって来た。




