5.初会合
慎二くんが望んだ通りにお披露目会の前日に会合が開催された。出席者は
ブラントン伯爵:チャールズ-警護副長、ハンフリー-警護副長の関係者
ヴィアーズ伯爵:バーバラ-メイドの関係者
ウエルズ侯爵:アン-メイド、ウオーター-徴税官の関係者
ハーウッド伯爵:クレア-メイドの関係者
ダグラス侯爵:ジェーン-メイド長、ジョージ-徴税長の関係者
ヨーク伯爵:マティルダ-メイドの関係者
ブーン伯爵:サラ-メイドの関係者
テック伯爵:ローズ-メイドの関係者
バセンジー伯爵:メアリー-メイドの関係者
ピンシャー伯爵:アメリア-メイドの関係者
みんな関係者ね。でも悪い言い方をすれば、身内の人質を預かっている家になる。そう思って慎二くんに言うと、
「人質と言うには弱いな。メイドはメイド長を除き、全員養女だからいつでも切り捨てられると思う。」
「養女?」
「ああ、子爵家、男爵家の娘さ。」
いつの間に調べたのかしら。でも、だから知り得た情報を家に伝えて少しでも立場を良くしたいと頑張ったのね。
呼んでいないのに来ているのがソマリ宰相。でも会ったことがある人はこの人とブラントン伯爵だけなのよね。あとの人は初対面。まあ猫が司会をやりに来たと思えば良いか。
会合では、私たちを除いた全員の紹介が宰相によって行われ、最後に私が
『日本国女王、サユリ・タカツカサ。』
と自己紹介。続いて慎二くん、ではなく宰相が、
『明日正式に披露目されますが、新たにタウンゼント領主として任ぜられました、サユリ・タカツカサ・タウンゼント公爵であります。』
と紹介し直した。
すると慎二くん、
『任ぜられたのではない。我らがタウンゼントを割取したのだ。形の上ではサイベリアンの公爵という尊称ではあるが、ここにいる者たちには独立国タウンゼントと理解して貰う。』
と言い放った。
あらー、命令口調ね。背後の護衛騎士に緊張が走ったわ。
『申し訳ございません。タカツカサ陛下のおっしゃる通り、国王はタウンゼントを割譲しております。タウンゼントは事実上自治国でございます。』
『自治国ではない、独立国だ。だが、急にそう言われても混乱するだろう。今は自治国と考えても良い。』
とりあえず妥協したのね。このまま続けたら話が進まないし、どんな形でもサイベリアンと一線を画していることが伝わればいいもんね。
そんなオープニングを経て、みんなの目的、手押しポンプの話に移る。
慎二くんは、ブラントン伯爵にはタウンゼントに向けた道の整備を図面の代償にしたことを説明し、欲しいなら何を代償とするつもりかと問い掛けた。
ブラントン伯爵領はお隣だから道路整備が成立するが、他はできない。どうするんだろう。やっぱりお金かしら。
ブラントン伯爵の道路整備の費用を考えると、普通に考えたら億単位になっても不思議ではない。みんなお付きの文官、きっと家令ね、と話していてざわついている状況が続いた。すると慎二くんが、
『各領地で整備が必要な井戸の数は異なるだろう。そこで領地の人の数で代償となる費用を決めるのは。ひとりあたり、そうだな500円でどうだ。』
確か王がサイベリアンを50万人って言っていたから、ここにいる人たちの領地合わせて20~30万人、そうなると1~1.5億か。1領地当たり1000~1500万円だね。
みんな想定していた金額よりかなり低いのを提示されたので、あっという間に了承、契約に進んだ。宰相は蚊帳の外である。宰相以外は各地方のトップ、宰相は形式では国のトップのようだが、本当のトップは王なので決定権がない。というか今回移譲されていない。持ち帰りだ。
目的のポンプが決着し、この後はほぼ雑談タイムとなった。タウンゼントで整備された道を直接見て知っている人はブラントン伯爵以外にいない。道の報告は受けているようだが、具体的な話ができるほどの知識が無く、こちらも教える気がないので
道を整備しています、どのくらいの距離でしょう、これぐらいです、すごいですね。
ってな感じにしかならなかった。
ブラウンロー・ソマリ :宰相(ソマリ猫)




