1. 来訪者 その1
この5日間、毎日のように複数の客がやってきた。
初日は宰相のところとヴィアーズ伯爵家、テック伯爵家。
本来、外向けの仕事は家令、内向けの仕事は執事なんだけど、宰相のところ以外は執事に任せた。
宰相は国王、公爵がらみだから家令にしたんだけど、執事たちが何をしているかよくわからない(従者とその家族の管理をしているのは分かるけど)ので、手紙を受け取り、来訪の趣旨を聞き取る仕事をさせ、報告させることで、能力を測ってみようと言うのが慎二くんの狙いである。
私たちは当然立ち会わない。でも、慎二くんは聞いているみたいだ。しきりにパソコンに打ち込んでいる。
「子猫さん、どんな感じ?」
「子猫って、宰相の部下だからか。もうちょっと待ってて。まだ話は続いている。後で教えるから。」
そう言いながら打ち込みの手は止まらない。
「来た目的は宰相訪問のアポイントメントだったみたいだけど、道に敷いた石タイルとか、砕石を固めた道とかを質問しているよ。
石の切断とか、君の威圧とかをセバスは知らないから、答えようがないはずなんだけど、俺たちの力でできたとは教えている。
そこについて詳しく教えろと食い下がっているから、なかなか終わらないみたいだ。やっぱりセバスは公爵家の親戚だから宰相の使者は強気でいるんだろうな。」
「執事長にした方が良かった?」
「いや、もっと駄目だろう。執事長は、元々王家の男爵なんだから、恐らく口調も変わって命令調になったと思う。今の口調はへりくだって懇願している感じだからね。」
「あと、俺たちに会わせろとも言っていた。」
「会わないよね。」
「ああ、そこは予定通り。宰相なら王の代理と言えるから会うけど、そのまた使者なんかには会う訳がない。さすがにセバスはわかっているよ。」
テック家はアポイントメントだけだったみたい。テック家はローズのところね。メイドとして王家を捨てて来てくれた子の家は印象が良いからウエルカムよ。
でも評価は慎二くんにとっては低いみたい。言われたことをするだけの人を使者にしていることで、テック家の評価も下がった。有能な人物が来なかったことから、テック家は期待できないんだって。私たちに然程興味がないか、バカだそうだ。言いすぎな気がする。
ヴィアーズ家は、なかなか鋭かったんだって。宰相のところみたいに、道の話に加え、測量にも言及したそう。
やっていた測量なんて、素人には何をしているかさっぱりだと思うんだけど、それを聞くのは能力がある証拠だと慎二くんは言う。
凡人とそうじゃない人の差は、わからないことを聞けるかどうかの差だそうだ。だとすると私は凡人だね、いいけど。
次の日にダグラス侯爵家、バセンジー伯爵家。
1日空いてウエルズ侯爵家、ハーウッド伯爵家、ヘレフォード伯爵家。
最後にヨーク伯爵家、ブーン伯爵家、ピンシャー伯爵家。
ここにいるメイドの親戚の文官は全部来たわ。
メイドのみんな、ある意味ちゃんとしてるね。




