16.威圧の効果
屋敷の東のベランダから見える新しい道は、壮観の一言だ。東門から真っ直ぐに、遥か遠くまで石畳が続いている。さすがにブラントンまで一直線と言う訳ではないと思うが、一番近くの集落まではそうなんだろう。
私がベランダで景色を眺め、惚けていると、
「ちょっと威圧の新しい使い方を練習しないか?」
と慎二くんに声を掛けられた。
「どういうこと?」
「いや、威圧って相手を精神的に抑えつけるだろ?物理的に押さえつけられないか練習してみない?」
「はぁ?」
「まったく根拠なしに言っている訳じゃないよ。ひとつ、君が威圧を掛けると、掛けられた人がみんな土下座するでしょ。少しは物理的な作用があるんじゃないかと見えたこと。もうひとつ、俺が君の威圧を鑑定すると、”押さえつける能力”って出るんだ。」
私が慎二くんの話を理解しようと考えていると、続けて
「魔法はイメージに左右されると思っている。俺も威圧は精神、心に作用すると思っていた。でも、違うイメージを持てば、結果が違ってくる可能性があると思う。俺の石切り魔法だって、高圧で水噴射すると石が切れるとイメージできたから。知っていたからね。」
「押さえるかー。何をイメージできれば良いんだろう。」
「軽いところならタンピングランマーとか。広域を押さえるならロードローラーとかね。」
「タンピングランマーって何?」
「ほら、道路工事とかで見る、衝撃板が上下動して踏み固める機械だよ。ロードローラーは分かるよね。」
屋敷の周りはぐるりと石畳に囲まれていて、南門から南に向けていつの間にか砕石が敷かれていた。
その砕石を押さえつけて固めたいらしい。
タンピングランマーのイメージは失敗だった。固められはしたけれど、周りに砕石が飛び散り、いくらやってもうまくいかない。やっぱりガンガンやるよりじんわり押さえつけた方が良い気がする。
深夜の高速道路でアスファルトを踏み固めるロードローラーの映像をイメージして、砕石に威圧を掛けてみる。
すると、なんということでしょう。人が歩く速度か、それより少し早いか位の速さで砕石が固められていく。
できた。できてしまった。今敷いてあるすべての砕石が踏み固められた。
嬉しくなって、慎二くんに報告へ向かう。向かう途中、ふと
これって、もしかすると人を潰せちゃうんじゃない?
と考えてしまった。
浮かんだ潰すイメージを頭から追い払い、「これは道路工事、道路工事。」と呟きながら部屋へ急いだ。




