2.異世界召喚
「」の話言葉は日本語、
『』は異世界語としています。
どこかの国の聖堂のような場所だった。目の前には宗教関係者っぽい人が5人並んでいる。その中央に立つ男が何か繰り返し言っている。
『#$%&<>・・・』
『お前たちは召喚された』
最初は何を言っているかわからなかったが、何度か繰り返されると何故かわかるようになってきた。召喚?どういうこと?
私が呆然としていると、
『無礼者!』
慎二くんが叫んだ。
今まで聞いたことがない言語だった。慎二くんは日常会話程度なら複数の外国語が話せるから、慎二くんが聞きなれない言葉を発することに違和感はない。が、
(どうして私は意味がわかったの?)
そう考えると私の表情はさらに死んでいった。多分今の私の顔は究極の無表情に違いない。
『この方は我が国の女王、サユリ・タカツカサ陛下である。私は王配のシンジ・タカツカサだ。一国の王族に対し無礼であろう!』
うーん、名前はその通りだけど、女王はないな。
前にいる5人と、周囲の人々が呆然と立ちすくみ、奥の一人がどこかへ走っていった。
その時、慎二くんが私に小声で話し掛けた。
「相手の言ったこと、俺が言ったことがわかったか?」
「ええ、私が女王・・・」
「これは異世界召喚だ。そして俺たちには召喚によるスキルが付いた。」
ナニイッテルノコノヒト。
「わからないか?奴らの言葉がわかることがその証拠だ。」
確かに、最初は何を言っているかがわからなかったが、それはほんの少しの間だけだった。彼らの言葉もわかったし、話そうと思えば話せそうだ。
自慢にならないが、私は外国語がさっぱりだ。慎二くんが居れば問題ないし、最悪スマホがあればなんとかなると思っている人間だ。そんな私が他国の言語を話せるなんて、ちょっと嬉しい。
少し表情が戻った感覚がある。多分微笑んでいる感じかな?
「俺には他に"鑑定"のスキルがあるようだ。だから君に付いたスキルもわかる。まずは"威圧"だ。」
ナニソレコワイ。また表情が消えた。
「まずは心の中で"控えよ"と考えながら奴らを見るんだ。」
私は言われた通りに"控えよ"と思いながら前の5人を見つめた。
登場人物
鷹司 小百合:看護師、(サユリ・タカツカサ):女王陛下設定
鷹司 慎二 :作家、(シンジ・タカツカサ) :王配設定